テーマ

「自己紹介を漫画にしてください」

  • 課題提示、ネーム審査、完成稿審査:さやわか
  • ネーム審査、完成稿審査:西島大介
  • 完成稿審査:武富健治

ネーム提出締切| 2018年4月18日(水)

ネーム講評会| 2018年4月22日(日)

完成稿提出締切| 2018年5月12日(土)

完成稿講評会| 2018年5月19日(土)

第一回目の課題は、皆さんのことをよく知りたいこともあって、「自己紹介」をテーマにします。

ただしひとつだけ条件をつけさせてください。それは「読み物にすること」ということです。

ダメな例を先に挙げましょう。「私の名前はさやわかです。男です。おっさんです。北海道で生まれました。関西に10年くらい住んでから東京に引っ越してきました。家族構成は… 趣味は…」みたいな、ほとんど箇条書きみたいな説明文をそのままコマに入れて、とりとめなく絵を付けていって、説明することがなくなったら急に終わり、というものを描いてみても、漫画として全然読めない。面白くないですよね。これはダメです。

なら、自己紹介を漫画にするって、どういうことなんだろうか。ざっと考えてみたんですけど、これには3パターンくらいあると思います。

①作者自身の身近なことを描いたパターン
これはたとえば、清野とおるさんの『東京都北区赤羽』シリーズなんかがそうですよね。
冒頭に、「僕」こと漫画家の清野とおるは赤羽に住んでいると書いてあります。たしかに自己紹介です。だけど、ちゃんとギャグ漫画としてストーリーがある。具体的に何か描きたいテーマ(赤羽がとても奇妙な街であること)があって、それを話す形でストーリーが進行する。ただ事実を並べただけじゃない。そして、それを見ることで、やっぱり読者は清野さんがどんな人間なのか理解できる。つまり自己紹介として読める。

②作者自身の経験と思われることを描いたパターン
これはたとえば、さくらももこさんの『ちびまる子ちゃん』なんかがそうですよね。
冒頭には「わたしは小学校3年生の時のさくらももこです」と書いてある。たしかに自己紹介です。だけど、作品の中心になっているのは子供時代の「あるある」みたいなことで、作者の経歴を羅列しているわけではない。だからまる子という主人公も、必ずしも作者自身ではなく、独立したキャラクターとして描かれている。アニメだとナレーションも男性ですよね。

③作者自身が漫画のことを語るパターン
漫画家が、漫画家という職業や漫画という表現そのものをテーマにして描く漫画。「漫画家漫画」なんていう言い方をする場合もありますよね。大井昌和さんがひらめき☆マンガ教室のために描き下ろしてくださった紹介漫画は、これに近いと思います。

描いてある内容は、たしかにひらめき☆マンガ教室の紹介です。でも、読者はこれを読むことで、大井さんという作家が、どんな趣味の人か、また漫画についてどういう考え方を持っているのか、とかが理解できますよね。なら、あなたは漫画についてどんな考えを持っているから、ひらめき☆マンガ教室を受講しようとしているのでしょうか?この課題で、それを漫画にすることはできるかもしれません。

どうでしょうか?
本当はこれ以外にも「作者の思想が強く反映された登場人物の出てくるマンガ」とかもありますけど、とりあえずこのへんで。
さて上記に挙げた3つの例を見ながら、「要するにこういうことをやればいいのかな」とカンを働かせて、描いてみてください。それぞれの作品で、作者が、どうやってその作品を作っているのか、よく考えて描いてみてください。

★ヒント1:この課題は要するに、たとえ作者本人が登場するにしてもそれが独立したキャラクターとして描かれていて、またストーリーというほどでなくても筋書きのある作品にすると、高得点になります。
★ヒント2:やっていただきたいのは、上記の3作品をそのままマネすることではありません。たとえば子供時代を描けというわけではないです。自分の職業について描いたっていい。生活でのこだわりについて描いてもいい。作者自身が登場しなくて別の誰かに変えちゃってもいい。
★ヒント3:絵柄も、絵の上手さも関係ないです。そもそも、ここで最初に提出するのはネームなので、下描き以下のクオリティでいいです。「ネームってのがどんなものかわからない」というひとは、コマ割りと、構図と、誰がどんなポーズと表情をしてるか分かる程度の絵を描いてみましょう。

(さやわか)

<運営による追記:提出されたすべてのネームおよび完成稿に対する主任講師からのコメントはこちらからご覧いただけます。>

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