PROGRAM

プログラム

  •  「SF創作講座」第1期(2016年度)の開講期間は、2016年4月から2017年3月までの10ヶ月間です。主任講師は書評家・SF翻訳家の大森望です。期間途中での入講、一部講義のみの受講は受け付けておりません。
  • 本講座の講義および講評会は、月1回、原則として第3木曜日の夜に、ゲンロンカフェまたは五反田アトリエで行います。各講義には月ごとに、「文学」「論理」「宇宙」などの大きなテーマが設定されています。
  • 各回は3コマからなります(例外あり)。1限(19:00-21:00)ではゲスト講師の創作環境やテクニックに迫る講義と、翌月の講義で講評対象となる梗概の主題提示を行います。2限は、前月までに出された主題に基づく梗概を講評し、3編の優秀作を選出します。選ばれた受講生は、次回までに梗概を元にした短篇を執筆・提出します。3限は、前月選ばれた梗概優秀作を発展させた短篇の講評を行います。
  • 「SF創作講座」第1期では、すべての受講生は、下記の<超SF作家育成サイクル>に基づいた10回の梗概+PR文を提出することが求められます。また、成績に応じて、梗概を元にした短編小説を提出していただきます。すべての提出物は専用サイトで公開されます。
    超SF作家育成サイクル
    1講義にて課題提示
    初回は第1回講義の3週間前までに、第2回以降はその前の回の講義で、ゲスト講師から主題が提示されます。主題は「タイムマシン」など道具立てに関するもの、「火星」など舞台に関するもの、あるいは表現手法に関する具体的な指定など、講師によりさまざまです。
    2webにて梗概提出
    受講生は、各回講義の7日前までに、主題に沿った梗概(800字程度)と内容に関するアピール(400字)を提出することが求められます。受講生は、所定のフォームより、梗概とアピールを指定のウェブサイトにアップロードします。提出されたテキストは、受講生以外でもアクセスできる状態で公開されます。一般読者の反応は以下の選考・講評で考慮されます。
    3講義にて上位3名選出
    講師によって、優秀な梗概が3本選ばれます。選出された3名は④に進み、惜しくも選外となった他の受講生は、その日提示された新しい課題に基づいて、次回提出する梗概の準備を始めます。
    4webにて小説提出
    梗概が選ばれた3名は、次回講義の7日前までに、梗概に基づく短篇小説(原稿用紙50枚程度)を執筆・提出します。この3名については、②の梗概提出と④の小説提出が同時並行の作業になります。
    5講義にて優秀作選出
    提出された短篇には、講師の協議に基づいて点数が割り振られます。点数は3人を合計したものが、10点+(受講生総数-その主題で梗概を提出した人数)になるように配分します。点数の推移は特設サイトで公開されるとともに、最終講評において考慮の対象となります。

    以上のサイクルを繰り返すことで、受講生は「主題に沿った小説を組み立てるプロット力」「分量に見合ったアイデアを生み出す発想力」「作品を魅力的に提示するプレゼン力」「発想を作品に落とし込む筆力」など、SF作家としての基礎体力を確実に向上させることになります。

  •  全10回の講義を終えたのち、1ヶ月の準備期間をおいて、2017年3月に修了作品を対象とした最終講評会を行います。修了作品の課題、分量など規定はのちに公開します。
  • 最終講評会では最優秀作を1つ、優秀作を若干選出します。最優秀作を提出した受講生は、2017年10月に刊行する『ゲンロン7』に提出作品を掲載し、デビューする権利を得ます。掲載時には、弊社規定の新人原稿料をお支払いします。

SCHEDULE

スケジュール

年間スケジュール

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ABOUT

ゲンロンSF創作講座へようこそ

日本SFはいま、第二の黄金期を迎えようとしている。新鋭が続々登場し、英訳版が海外のSF賞を受賞したり、ハリウッドで実写映画されたりの話題にも事欠かない。もっとも、SF新人賞の応募作を読むと、好きな作家のスタイルを見よう見まねでなぞって失敗している人が多数。考えてみると、いまの日本で、デビュー前に〝SFの書き方〟を学ぶ機会はほとんどない。

SF創作講座の先例としては、1968年にスタートしたクラリオンSFワークショップが世界的に有名。ブルース・スターリングやキム・スタンリー・ロビンスンなど多くのSF作家を輩出、今年の講師には、同講座の卒業生でもあるテッド・チャンやケリー・リンクが名を連ねている。6週間の合宿制で、受講生は書き上げた作品を講師に見てもらいながら、SFおよびファンタジーの書き方をみっちり勉強する。

そこまで濃密な空間を用意するのはむずかしいとしても、日本にも、なんらかのかたちで本格的にSF創作を学ぶ場所があればいいのに……。と、他人事のようにぼんやり考えていたところ、芸術、批評につづく第3のゲンロンスクールとして開校する小説講座のホスト役を、思いがけず務めることになった。

各回のゲスト講師は、日本SFの第一線で活躍する作家と編集者。毎回、講師の話を聴き、質疑応答に参加するだけでも十二分にスリリングな体験になるだろう。クラリオンのように苛酷な試練をいきなり課すつもりはない。課題の提出は義務ではなく権利。書けたら書くけど……というカジュアルな受講生も歓迎するし、欠席しても問題ない。逆に、石にかじりついてでも作家になりたい人にとっては、実力を試す最高の場になるはずだ。

小説の書き方は、かならずしも教えられて身につくものではない。とはいえ、ジャンルのさまざまなテーマに応じた作法や心構え、やってはいけないことなど、学ぶべきことはたくさんある。井戸に石を投げ込むように新人賞への投稿と落選を漫然とくりかえしている人にとっては、自分が考えたプロット、書き上げた作品をプロの講師に見てもらい、意見や評価を受けるだけで、よほど効率的にスキルを磨けるはず。ファンタジーやホラー、ミステリなど、SF以外の分野で作家になる道を模索している人にとっても、小説を書く基本は同じ。ライトノベルや純文学などの方法を使ってSFの課題をクリアしてもいいし、むしろそれが武器になるかもしれない。

門戸は広く、ハードルは低く。ただし、やる気のある受講生にはとことん付き合ってサポートする。SFについて学びたい人も、とにかく小説を書いてみたい人も、ぜひ受講してほしい。ゲンロンSF創作講座の記念すべき第1期生にどんな人たちがやってくるのか、ドキドキしながら待っている。

大森望

LECTURERS

講師

大森望

大森望|おおもり・のぞみ

1961年、高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。

ゲスト講師

長谷敏司

長谷敏司|はせ・さとし

1974年、大阪生まれ。2001年、第6回スニーカー大賞金賞を受賞した『戦略拠点32098 楽園』(KADOKAWA)でデビューしたのち、ライトノベルからSFに活動の場を広げる。2015年、『My Humanity』(早川書房)で第35回日本SF大賞を受賞。その他の著作に『円環少女』シリーズ(KADOKAWA)、『あなたのための物語』(早川書房)、『BEATLESS』(KADOKAWA)、『メタルギアソリッド スネークイーター』(KADOKAWA)など。

冲方丁|うぶかた・とう

1977年、岐阜生まれ。早稲田大学中退。1996年、『黒い季節』(KADOKAWA)で第1回スニーカー大賞金賞を受賞し作家デビュー。2003年、『マルドゥック・スクランブル』(早川書房)で第24回日本SF大賞を受賞、ベストSF 2003国内篇第1位に輝く。2009年、初の時代小説『天地明察』(KADOKAWA)で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文芸賞を受賞。2012年、『光圀伝』(KADOKAWA)で第3回山田風太郎賞を受賞。

藤井太洋

藤井太洋|ふじい・たいよう

1971年、奄美大島生まれ。 国際基督教大学中退。舞台美術、DTP制作、展示グラフィックディレクターなどを経て、2013年までソフトウェア開発・販売を主に行う企業に勤務。2012年、電子書籍個人出版「Gene Mapper」を発表し、作家として一躍注目を浴びる。同年12月短篇小説「コラボレーション」「UNDER GROUND MARKET」の2作で商業誌デビューし、2013年4月に、「Gene Mapper」の増補完全版『Gene Mapper -full build-』(ハヤカワ文庫JA)を刊行。『オービタル・クラウド』(早川書房)で、第35回日本SF大賞、第46回星雲賞(日本部門)を受賞。2015年より、日本SF作家クラブ会長を務める。

宮内悠介

宮内悠介|みやうち・ゆうすけ

1979年、東京生まれ。幼少期より1992年までニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部英文科卒。2010年、囲碁を題材とした短篇「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞。2012年、連作短篇集『盤上の夜』(東京創元社)を刊行し単行本デビューした。同書は第147回直木賞候補となり、第33回日本SF大賞を受賞。さらに第2作品集である『ヨハネスブルグの天使たち』(早川書房)も、第149回直木賞候補となり、第34回日本SF大賞特別賞を受賞。2015年、初の長篇『エクソダス症候群』(東京創元社)を発表。

法月綸太郎

法月綸太郎|のりづき・りんたろう

1964年、松江生まれ。京都大学法学部卒。在学中は京都大学推理小説研究会に所属。1988年に『密閉教室』(講談社)でデビュー。2002年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『生首に聞いてみろ』(角川書店)で第5回本格ミステリ大賞を受賞。2013年より本格ミステリ作家クラブの会長を務める。『頼子のために』(講談社)、『一の悲劇』(祥伝社)、『ふたたび赤い悪夢』(講談社)、『ノックス・マシン』(河出書房新社)など著作多数。

新井素子

新井素子|あらい・もとこ

1960年、東京生まれ。立教大学文学部卒。高校時代に書いた「あたしの中の…」が第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選し、デビュー。1981年の『グリーン・レクイエム』(講談社)、1982年の『ネプチューン』で2年連続で星雲賞を受賞。1999年、『チグリスとユーフラテス』(集英社)で日本SF大賞を受賞した。『……絶句』(早川書房)、『ひとめあなたに…』(東京創元社)、『おしまいの日』(中央公論新社)、『未来へ……』(角川春樹事務所)など著書多数。
写真提供=新潮社

円城塔

円城塔|えんじょう・とう

1972年、札幌生まれ。研究者を経て作家。SF、純文学問わず広く活動中。主な著書に、『Self-Reference ENGINE』(文藝春秋、2014年 Philip K. Dick Award 特別賞)、『烏有此譚』(講談社、第32回野間文芸新人賞)、『道化師の蝶』(文藝春秋、第146回芥川龍之介賞)。訳書に、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)。近作に『シャッフル航法』(河出書房新社)、『エピローグ』(早川書房)、『雨月物語』(河出書房新社、池澤夏樹個人編集日本文学全集所収)、『プロローグ』(文藝春秋)。
写真提供=新潮社

小川一水

小川一水|おがわ・いっすい

1975年、岐阜生まれ。1993年、「リトルスター」が集英社ジャンプノベル小説・ノンフィクション大賞佳作に入賞。1996年、同賞の大賞受賞作『まずは一報ポプラパレスより』(集英社)で単行本デビュー(河出智紀名義)。『第六大陸』(早川書房、第35回星雲賞日本長編部門受賞)、『老ヴォールの惑星』(同)、『天冥の標』(同)、『コロロギ岳から木星トロヤへ』(同、第45回星雲賞日本長編部門)など著作多数。

山田正紀

山田正紀|やまだ・まさき

1950年、名古屋生まれ。1974年、「神狩り」でデビューし、同作で第6回星雲賞日本短編部門を受賞。『最後の敵』(徳間書店)で第3回日本SF大賞を受賞、『ミステリ・オペラ』(早川書房)で第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞を受賞。SF、ミステリ、冒険小説など多岐にわたる分野で活躍する。『宝石泥棒』(角川春樹事務所)、『エイダ』(早川書房)、『神狩り2』(徳間書店)、『カオスコープ』(東京創元社)、『神獣聖戦』(徳間書店)、『桜花忍法帖』(講談社)など著作多数。

東浩紀

東浩紀|あずま・ひろき

1971年、東京生まれ。哲学者・作家。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。株式会社ゲンロン代表、同社発行『思想地図β』編集長。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『弱いつながり』(幻冬舎、紀伊國屋じんぶん大賞2015)など多数。

APPLICATION

募集概要

定員

30名
※通年での募集となります。
※先着順での受付となります。定員に達し次第、受付を締め切らせていただきます。

募集期間

2016年1月15日− 2016年2月29日

受講料

148,000円(税別)修了作品審査料を含む
※ゲンロン友の会第6期会員、2015年批評再生塾(第1期)受講生、新芸術校(標準コース第1期)受講生は割引が適用されます。いずれも5000円の割引となります。

お申込み

ゲンロン 大森望 SF創作講座の受講を希望される方は、受講規定をお読みになってから、下記フォームに必要事項を入力し送信してください。
銀行振込をご希望の方は、フォームを送信し、下記振込口座のいずれかに1週間以内に学費全額(消費税込)をご入金ください。割引の有無によって値段が違います。お支払いいただく金額は、自動送信の受付確認メールに記載されています。入金が確認でき次第、手続き完了となります。振込手数料は申込者の負担とさせていただきます。 クレジットカードでの決済を希望する方は、フォーム送信後に現れる決済画面(EC-CUBE)の指示にしたがい、手続きを終えてください。決済終了が確認でき次第、手続き完了となります。友の会割引の適用をご希望の方は、適用がなされているか確認のうえ、決済をお願いいたします。決済画面のURLは、自動送信の受付確認メールにも記載されています。 どちらの場合も、入金が確認されない場合は、申込みはキャンセルとさせていただきます。

振込先

  • 三菱東京UFJ銀行 中目黒支店 普通口座 0062050 カ)ゲンロン
  • ゆうちょ銀行 〇一八店 普通口座 8907479 (記号番号:10190-89074791) カ)ゲンロン

受講までの流れ

授業開始日は4月21日です。3月中にメールにて初回授業のご案内を差し上げます。

受講規定

受講資格 所定の受講申込みフォームからの申込みと学費の納入が確認された時点で受講手続が完了するものとします。受講手続は申込み順で行われます。また、受講の申込みをもって本受講規定に同意したとみなされるものとします。受講手続完了時にはメールで連絡いたします。
定員 定員は30名です。ただし、応募数が開講最少人数に満たないときは開講しない場合があります。最少人数は別途告知いたします。 スケジュール、授業日・授業時間はプログラムに明示いたします。
スケジュール 授業日・授業時間はプログラムに明示いたします。
受講料
  • 金額
    受講料は別途ウェブサイトに明示いたします。
  • 納入方法
    受講料は、現金、銀行振込、所定のクレジットカードのいずれかにて、全額を一括でお支払いください。
  • 割引
    ゲンロン友の会第6期会員、2015年批評再生塾(第1期)受講生、新芸術校(標準コース第1期)受講生は割引が適用されます。いずれも5000円の割引となります。割引は併用できません。割引額は別途ウェブサイトに明示いたします。
  • 返金
    納入された受講料はいかなる事情があっても返金いたしません。ただし、主催者・講師の事情で授業が中止になった場合はそのかぎりではありません。
  • 分納
    分納は受け付けておりません。ただし、クレジットカード利用の場合は、クレジット会社の規約にしたがった分割払い等が可能な場合があります。詳細はクレジット会社にお問い合わせください。
在籍証明 教程の3分の1以上を欠席した場合は、在籍したと認められない場合があります。
注意事項 自己の入学資格および在籍資格を第三者に譲ることは、いかなる場合も認められません。設備・機材を破損する、授業を妨害する、講師陣の中傷を行う、営業を妨害するなど、当社(株式会社ゲンロン)に不利を及ぼす行為をした生徒は、当社の判断により除籍・退学となる場合があります。その場合も受講料の返金は行いません。 ゲンロン 大森望 SF創作講座は学校教育法が定める学校や各種学校ではありません。

申し込みフォーム

募集は終了いたしました。

お問い合わせ

ゲンロン 担当 徳久倫康
info[at]genron.co.jp

イメージ画像:大森望+杉山豪州(Gottingham)