突然の無茶振りですが、今回は皆さんに「売れそうな小説」を考えてもらいます。
小説は読者さんとのコミュニケーションです。「より多くの読者さんに受け取ってもらいやすいもの」「より多くの読者さんが受け取りたいと感じるもの」を作る技術を磨いてみよう、ということです。これは創作技法の一種なので、商業活動を行う予定がない人でも、習得しておくと便利だと思います。
売れそうと思わせてくれれば内容は何でもOKです。
キャラクターが魅力的であったり、設定が斬新であったり、世界観が魅力的だったり、テーマが現代的だったり、旬のネタを使ってみたり、人気ジャンルの最高峰を狙ってみたり……どの角度から攻めていただいても大丈夫です。SFの講座なのでSF作品がメインになると思いますが、SFではない作品も私はマイナス評価しません。
なお、以下の点に注意してください。
- 企画書の形式は自由です。タイトル、三行程度の企画概要説明、主要キャラクター数名を紹介、簡単なストーリー紹介などを含むのが一般的かと思いますが、作品の全体像が分かるなら何でもOK。企画書なので箇条書きでOKです。普段の講座と同様の梗概形式でもOKです。
- 「内容に関するアピール」の欄に「どうしてこの小説が売れそうだと思ったか」を書いてください。
- 今回は「長編小説」(原稿用紙300枚超)の企画を考えてください。長編と短編では使う筋肉が違いますが、両方書けると創作の幅が広がって楽しいですよ。連作短編集でも可としますが、その場合は一冊の本にするだけの「まとまり」が必要となります。
- 来月の実作講評では、企画した長編小説の第一章を提出してもらいます。講師陣からの講評を参考に最後まで書き切ると、とても勉強になると思います。
そして最後に一番大事な注意点!
- 売れそうなものを作るからと言って、自分が書きたいもの、表現したいものを捨てないでください。編集者が提案してくる「売れそうな本の企画」の多くは安直すぎて(作家にとっては)面白くないし、たいてい失敗します。やはり作家自身が「面白い」と思って書いていけるものでなくては、良い作品にならないと思います。「俺はこれを書きたいんじゃあ!」という情熱はそのままに、どのような角度で切り出せば、あるいはどういったコーティングを施せば「売れそうなもの」になるか、考えましょう。
今回は、皆さんの企画書にダメ出しをするというよりは、どうしたらもっと「売れそうなもの」になるか、みんなで考える回にしたいと思います。「売れそうな感じを醸し出す」というのは、いわば合コンに行く前に化粧をしたり身だしなみを整えたりする「おめかし」の技術にすぎません。一度覚えると便利なので、今回その技術を皆さんに伝授できたらと思って、この課題にしました。
皆さんの企画書、拝読するのが楽しみです!!!
(新川帆立)