梗 概
Cat or Friend
趣旨/
- メタフィクションのエンタメで、メタを安易な種明かしや解決に使わず、最初からメタの問題に取り組んだ物語を目指す。
- 登場人物の目線から、『自分が文章で描写される』ということの気持ち悪さや、どこにも存在しない読者との交流を書く。
- 読者に登場人物との友情を感じさせる。
舞台/
架空のファンタジー世界
主な人物/
◇ルイーナ・キャロル ――世界を支配している魔女。もともとは童話作家で、著作『リデオットの三姉妹』で人気を博していた。
◇アリス・リデオット ――ルイーナの討伐を目指している少女。もとはルイーナの著作『リデオットの三姉妹』の登場人物だったが、「文字の魔法」によって現実に生み出された。
◇カモネ・エニグマ ――ルイーナ討伐隊の隊長。アリスの母親代わりになっている。
◇アイ ――読者。あだ名が「アイ」。物語の外の人物。
重要な概念/
「文字の魔法」――読者が読んでいる小説の文章を書き変えることで、現実を改変する魔法。魔法が使われた跡は、こんなふうにフォントを変えて、筆跡という体裁で表現する。
一章の主なストーリーライン/
1 どこかの空室に、虚空に向かって話しかけ続ける少女・アリスがいる。不器用な話しぶりだが、読み続けると、どうやら、読者そのものに語りかけていることが分かる。(以後、ずっと登場人物たちは読者のことを意識し続ける)
アリスに案内されるまま読み続けると、そこは「魔女ルイーナ」を討伐するための魔法研究所であることがわかる。アリスは、読者にとってこの世界の出来事が他人事でしかないことを認めたうえで、「ルイーナの討伐に協力してほしい」と願ってくる。協力出来ないなら、読むのをやめればいい、と念を押される。
2 読み続けると、討伐隊の隊長のカモネがやってきて、「入隊した」とみなされる。読者に『アイ』というあだ名がつき、今後、登場人物からは『アイ』と呼ばれる。
(一度、バトルものとして、魔女の使徒との戦いを挟む。魔女の使徒は、魔法が存在している世界においても、理外の強さを持っているが、文字の魔法の力によって撃破・捕獲する)
読者は、文字の魔法の研究に協力するという体裁で、つねに登場人物から話しかけられる日々を送ることになる。(カモネの案により、読者のために木製の人形が用意されて、そこに「アイ」と呼びかける、という形をとる)
3 捕獲された魔女の使徒を説得しようとする。魔女の使徒は、文字の魔法によって生み出された存在であり、不自然にルイーナを信奉している。なぜなら、そうあるように書かれた存在だからである。(例えば、「ルイーナを信奉している」と文章に書けば、その通りの人間が生まれる)
アリスは、自分もまた魔女の使徒だった、と語る。虚空に話しかけるという行為自体に不慣れな様子で、非常にたどたどしい様子である。さあ、読者とアリスは仲良くなれるのかな~? って感じで一章が終わる。
文字数:1199
内容に関するアピール
かなりギミックが重要になる話なので、1200字程度で全体像を書こうとするとわけがわからなくなるため、こういう形式をとりました。(企画書ですし)4章構成で、2章で読者とアリスの関係付け、3章でルイーナ側の目線、4章でギミックを盛ったラストシーン、みたいな感じになると思います。
メタフィクションのエンタメは、昨今の世情から鑑みても売れる素質がある(というか、売れているものは少なからずメタさを持っている)と思うのですが、一方で、メタの美味しい所ばかり拾われていて、メタの権威性とか、気持ち悪さみたいなものに正面から取り組むエンタメはそう多くないと思います。エンタメとメタはそもそも食い合わせが非常に悪くて難しいと思うのですが、思弁的になりすぎないようにマジで気を付けられれば、かなり面白い物が出来るだろうと思います。
わりとラノベな展開なのですが、最近はわりかしSFとラノベを一体化させるようなものがどちらの売り場にも多いので、需要としてはそこらへんを狙えるのではないでしょうか。(メタの問題に関しては、軽くなりすぎないよう、ガチガチに書きたいのですが)
それと「登場人物目線で」と書きましたが、なるべく登場人物から距離をとった、三人称で書くつもりです。登場人物が他人であると読者に印象付けるのがねらいです。
文字数:554