梗 概
この世界の片隅で
近未来。スマトラ島トバ火山が噴火。数年の噴煙の硫黄化合物でオゾン層は破壊され強酸性雨で海は弱酸性化。紫外線由来の癌や生態系変化での疫病が蔓延するも、カブトガニが絶命したため医薬品は希少となり人類の平均寿命は約50歳。
医療は政府承認制となり、医療官なる公務員が個人情報抜きのカルテと病者との面談で判断。面談は専用施設の、教会の懺悔室を模したソルという部屋で変成器と顔を隠す仕切りで隔て行う。医療官は面談後に治療承認か不承認を告知。ただし不承認でも病者が治療に非常に積極的な場合、承認と告げてプラセボ治療が行われる事もある。
豪:医療官
蘭:豪の中学の同級生。豪の初恋
結:蘭の娘。小学5年
1幕
・豪のソルの仕事。豪は世界に虚無を抱いている
・豪と蘭がソルで面談。カルテには早期悪性腫瘍、境界性人格障害、シングルマザー、職歴等が記載。蘭は自暴自棄に人生を語るが、昔話から豪は相手が蘭と気づき半年の告知保留とする
・豪は蘭に会うため同窓会を開く。蘭は人の前では機知に富んだ美人。豪は蘭に話しかけ何も知らない振りで蘭の心を癒そうとする
・同窓会後に二人で散歩。蘭が娘(結)と3人の旅行を提案
2幕
・3人で旅行。結は年の割に大人びている。結は豪にお母さんに優しくしないでと意味深に言う。蘭はまるで3人が家族のよう振る舞う
・宿泊先の夜。蘭が豪の部屋に来る。蘭は情緒不安となり実は癌でソルで面談したと語るが、豪は相手が自分だったと明かさない。蘭は豪を押し倒し豪は経験したことない激しいセックスで襲われる
・豪のソルの仕事。豪は蘭が頭から離れない。豪と蘭は逢瀬を重ね徐々に頻度が高くなる。豪は結のネグレクトを訝しみつつも逢瀬を止められない。蘭が二人の旅行を提案する
・豪と蘭で旅行。豪は自責や二人で逃げたい気持ちで揺らぐ。二人は釣り船を借りて夜の海に出る。蘭の様子が変、と思ったら豪は自分も変と気づく。出航前に蘭が豪に食べさせたクッキーは麻薬入りだった。蘭との船でのセックスで豪は神秘体験をする
・豪の家で3人は密かに同棲を始める。豪は医療官の規則違反を自覚しつつも蘭と結への保護愛を深め共依存に堕ちる。会話から豪は次のソル面談への蘭の心を探るも、蘭は、自分が治療を望んでも噂されてるプラセボだよ!と豪に泣き縋る
・豪のソルの仕事。病者と面談する程、豪は蘭が救いようない人間と判断せざるを得ないと感じる。しかし豪は職権濫用で蘭を治療承認にすると決意
3幕
・豪と蘭がソルで面談。豪は蘭に承認と告げるが、蘭はプラセボでしょ!と叫び部屋を出る
・夕方に豪の仕事が終わる。豪は帰宅後に蘭に全て打ち明け、望むなら3人で逃亡する決意をする。しかし家に帰ると結が一人で泣いている。蘭は荷物をまとめてどこかへ消えた
・豪と結は車で蘭を探す。豪は蘭が時期に死ぬと自覚しつつ、いつか蘭が帰ってくると幻想も捨てず、結を育てる決意をする
文字数:1200
内容に関するアピール
「正解のない葛藤」の作風を武器にしたい。ディストピアでも生きる希望を感じさせる作風にしたい。
本作世界は現代文明をギリギリ保ちつつも人々は刹那的。そこで公務員という固い仮面の主人公を軸に、世界への虚無や怒りも伝わるドラマにしたい。旅行やドライブ描写を通して、滅びに向かう地球の視覚的な美しさをSF的に楽しんでもらいたい(酸性雨でビルは崩れ、世界中で砂漠化が進行)。
作中の逃亡とは、世界から逃げたい無秩序な破壊衝動です。
現代の創薬はカブトガニの青い血から取れるライセート試薬なるものに頼ってると思われ、カブトガニの生態が崩れると医療制度は維持できないかと。なお作中のソルという部屋はラテン語のSol(太陽)が由来。
人に買って頂ける小説が書けるよう上達したいので、皆さまのX、DM、または僕のHPのコメント欄(匿名可)で一言でも感想を頂けるとすごく嬉しいです!
文字数:400