梗 概
非行少年を絶対に更生するロボット
主人公は男子高校生夏樹と晶。
水田尊が出所したという噂に恐慌状態。
水田尊は中学生時代、痴情のもつれからA子さんを刺し、少年院に入っていた。実はこの話には裏がある。夏樹と晶は、粗暴な水田を嫌っており、LINEの送信元を偽装するトリックでわざと喧嘩を発生させたのだ。出所したら報復される。
尊には更生ロボットがつくとのこと。更生ロボットとは、タイヤで自走する高さ120センチくらいの円錐形の機械で、更生対象が絶対に悪いことをしないように見張り、実力介入するものだ。「社会の中で構成させるべき」という考えで導入された。
ある日の真夜中、夏樹は橋の上で、更生ロボットを連れた女の子が人をナイフで刺し、橋から突き落とすところを目撃する。つまり更生ロボットには脆弱性があり、対象者が悪いことをできるということだ。さらに報復が恐ろしくなった。
翌日、昨日の橋の女が転校してきた。彼女の名前は冬奈。更生ロボットを連れていた。夏樹と晶は冬奈から脆弱性を聞き出そうと試みる。だが冬奈は本当にいい子だったので、すぐにクラスの人気者になり、お近づきになれない。話しかけようとドギマギする二人。
冬奈と特に仲良くなったのが美春。美春と晶は仲が悪い。二人は中学の数学部で数学コンテストに挑むチームメイトだったが、晶が水田の傷害事件の流れで怪我をし、大会に出られなかった。エース晶を欠いたチームは惨敗し、それ以来美春は晶を猛烈に恨んでいる。美春がいるせいで余計に近づけない。
しかし、なんとか和解し、次第に四人は親友になっていく。
冬奈はロボットにより強く行動を制限されており、どこまでなら許されるか四人で検証し、そのスリルを大いに楽しんだ。
徐々に判明するロボットの仕様。授業終了後、時速4kmでまっすぐ帰らなければならない、などなど。
尊の状況も分かってきた。郵便局で真面目に働いているがここ数日は無断欠勤。
町で水田のロボットが迷子になっていた。町中で強盗事件などが相次ぐ。水田が疑わしい。
四人でいるところを何者かに襲われた。絶対水田だ。慌てて山に逃げ込んだ。冬奈はロボットを置いてきてしまった。ルール上冬奈が少年院に帰されることが確定的に。洞穴で雨宿りしながら、四人は最後の時間を噛み締めた。
その時偶然死体を見つけた。水田だ。死んでから随分時間が経っている。
晶が推理する。まず冬奈が人を殺した方法。その日は転校の日付であり、隣の県の学校から新しい自宅に向かって歩けば、ちょうど真夜中の橋の上を通過する。冬奈はその時間その場所に相手を呼び出し、殺したのだ。
また、強盗事件を起こしていた人を特定した。A子の姉だった。問い詰めて動機を聞くと「水田が更生したら嫌だから」。水田は永遠に嫌われてほしいのに、先日町で見かけた水田は大変礼儀正かったので、水田を悪者にした。
三人は共感しつつも、冬奈も同じ境遇であり、割り切れない気持ちになった。
文字数:1199
内容に関するアピール
僕の武器は、仕事柄、情報端末絡みの悪いことを無数に思いつくことです。しかし上手く小説に使えてないなと常々悩んでもいたのでアドバイスください。
今作はLINEグループに一人だけ違うメッセージを表示させる方法や、ノイズキャンセリングイヤホンを使った絶対騙される狂言誘拐など盛り込んでいこうと思います。
絶対に悪いことができなくなるロボットというSFガジェットを導入しました。
「悪いことをする人はずっと悪い人のまま皆から嫌われていてほしい」という、全く正義は無いが正直同調してしまう感情を描こうと思います。
とはいえ全肯定するわけにもいかないので、冬奈という前の学校で人を傷つけただろうけれど、自分にとってはいい人を登場させて、テーマを深掘ります。
冬奈が何をやらかしたのかは未定です。
今作の一番の山場は洞窟で四人で最後の時間を過ごす場面だと思っています。美しいところなので頑張って書こうと思います。
文字数:393