梗 概
月の輪に詠う鬼
【企画趣旨】
2025年は清少納言の没後1000年と言われている。彼女、そして彼女の生きた平安時代の人物や文学は、今なお小説や漫画、ゲーム、ドラマといったエンタテインメントの源泉として、多くの人々に親しまれている。この企画では、清少納言を新たな切り口でSFに昇華することを試みる。
【テーマ】
誰が味方か誰が敵か分からない
平安王朝×陰陽師×人狼ゲーム
【あらすじ】
正暦4年、清少納言は宮中に出仕し、中宮・藤原定子の女房となる。時は一条天皇の治世、朝廷では定子の父、藤原道隆が関白として実権を握り、藤原氏が栄華を極めていた。そんな中、内裏で惨殺死体が発見される。陰陽師・安倍晴明は、それを式神による仕業と看破する。朝廷を呪う何者かが放った式神は、他人そっくりに化けているらしい。疑わしい者たちが次々島流しにされるが殺人は止まない。誰もが疑心暗鬼になる中、清少納言はあるおかしな文に気付く。色が見えない。清少納言は他人の書いた文に色がついて見えるという超能力を持っていた。そのおかしな文の書き手こそ式神だった。晴明によって式神は退治されるが、新たな殺人が起こる。式神は1体ではなかったのだ。更に道隆が病に倒れ、その弟の藤原道長が権力を掌握しようと暗躍を始める。その魔の手は、道隆の娘である定子にまで及ぶ。定子を道長から守りながら、清明とともに式神捜索を続ける清少納言。しかし、その清明は道長と通じていた―
【登場人物】
清少納言
主人公。書かれた文字に色がついて見えるという超能力(共感覚)を持ち、その色を見て書いた本人の心情を推察できる。式神は人の心までは模倣できず、文字に色がつかないため、正体を見抜くことができる。その能力を清明に知られ、式神探しに協力させられることになる。定子の美しさと知性に心酔する。
安倍晴明
陰陽師。年齢不詳。相当な高齢のはずだが、若々しい姿をしている。人に化けた式神を見つけることはできないが、倒すことはできる。しかし、間違って本物の人間に力を使うと、跳ね返って自分が爆死することになる。陰陽寮に所属する官僚であり、道長に重用されている。
藤原定子
一条天皇の皇后。一族の政争に巻き込まれながらも気丈に振る舞う。
藤原道隆
定子の父。関白にまで昇り詰めるが、病死。
藤原道長
道隆の弟、定子の叔父。道隆の死後、権謀術数を巡らせる。
藤原彰子
道長の娘。入内し、中宮となる。
橘則光
清少納言の元夫。武にたけた人物だが風流を解さず、清少納言とは離婚。それでも二人の関係は良好で、妹背と呼び合う仲。清少納言たちに協力するも、文を見せようとしないことから疑いをもたれる。
藤原実方
内裏きっての美男子で数々の浮名を流したが、式神と疑われて左遷される。
藤原行成、藤原斉信
定子のサロンの常連。道隆の死後は道長側に付く。
紫式部
彰子の女房。
蘆屋道満
在野の陰陽師。清明に比肩する力を持ち、式神を使役する。
文字数:1321
内容に関するアピール
「売れそうな」というお題に対して最初に考えたのは、売る側にとって「売りやすい」本とは何か。これが著名な作家の新作であったり、大きな賞を獲った作品なら、宣伝もしやすいというもの。無名の新人の新作となると、どれだけ内容が良くとも、なかなか宣伝機会には恵まれないのではないか。
そこで、広く知られた題材で、かつ何かの特集ついでに関連書籍として紹介されそうな、近くアニバーサリーを迎える物を選んでみました。それが来年没後千年と言われる清少納言です。大河ドラマでも登場していますし、来年公開予定のアニメ映画もあるようですから、一応は旬ということにもなるか、と。そこに若者にも興味を惹きやすそうな人狼ゲームという味付けを加えてみます。これもSF人狼ゲームが来年アニメ化されるみたいですね。
ストーリーは正直全体まで考えついていないのですが、定子の断髪から再び宮中に上がるぐらいまででしょうか。史実は歪めて、途中で彰子の入内と紫式部の登場はさせます。清少納言は人狼ゲームの占い師にあたるポジションなので、紫式部にも能力と役職を与えたいなと考えています。
文字数:470