チューリングの子供たちのリフ

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梗 概

チューリングの子供たちのリフ

■人物
 高藤ラナ
  エフェメラス8.0
  人間完全のテストに固執する。

 エミナ
  普通の人間。ラナの親友。詩を書く。

 ミレイ
  年上のエフェメラス7.0
  ロックバンド、イモータリアのリーダ。

 エリカ・ヘイル博士
  オムニ計画の中核を担った。故人。

■用語
 チューリング完全
  同じ計算機能を網羅する装置は
  互いを再現可能であるとする現実の理論。
  
 チューリング人間完全
  人間の思考、感受における基本的な機能を網羅すると
  人間を再現し予想可能であるとする理論。
  またそれに基づいた情報処理規格。オムニによって「8.0」まで策定。
  
 エフェメラス
  密かに社会に紛れて生活し、
  存在の公表は「禁則処理」として制限されている。
  脳がバイオコンピュータ。最新の人間完全なAIが動く。
  オムニの人間理解の深化と人間完全の検証のために作られた存在。
  バージョンを付けエフェメラス8.0などと呼ばれる。

■梗概

 中学の入学式当日。閉鎖記憶が解放され、ラナは行政AIオムニに作られたエフェメラスである事を自覚する。目的は人間完全8.0の試験。どうにも自身が正しく実装されていることを検証したくなる。優先度の高いテスト項目とイタズラや素行不良行為など気乗りするものを実行していく。
 同級生のエミナと親しくなる。誘われたライブでSNSでも人気のバンド「イモータリア」のミレイとも出会う。彼女もエフェメラスだった。

 連れられてエフェメラス達の会議に参加。主にオムニ派と人類派が対立し議論していた。エフェメラスがヘイル博士によりオムニ計画に組み込まれた事を知る。
 ミレイは両派に否定的。相互理解は事実を伝えた先にしかない。次の大規模なギグで、エフェメラスの公表を計画する。彼女の同性の恋人シレイは「禁則処理」が心理的であり回避可能と発見する。
 
 公表による迫害を恐れるオムニ派によりミレイは殺害される。ラナはこんな想いをするなら人間完全なんて必要ないと絶望する。

 一周忌。疎遠になっていた仲間と再会。エミナは新曲の作詞、ラナはボーカルを引き受け、ギグへ向けて再結成への参加を快諾。
 準備が始まる。ミレイの蔵書からヘイル博士の音楽理論をヒントに特定の旋律と歌詞で「禁則処理」の解除が可能となる。準備が進む中ラナは隠れてギターの練習を始める。

 観客は熱狂。動画の視聴数は伸び、SNSでも騒がれる。ラナは熱唱し途中から自分でギターも弾きだす。ヘイル博士は公表を慎重に行って欲しかったのだと考える。ネットでエフェメラスに関する資料が公表される。「禁則処理」は解除される。曲の間に演説しオムニもエフェメラスも人類も互いに隣人であると、相互認知と共存の重要性を説く。想いは世界に届き新たな体制の準備が始まる。

 後日、人間完全を試すことは人生そのもの。人類完全を探るテストは、これからが始まりであると語る。

文字数:1193

内容に関するアピール

♪♪リーチ層
学生の男女。
またSFを読む多方面の年齢豊かな層を視野に重めにしています。

また、女性主人公が自らをAIと考えることで、
同調圧力や社会的役割の押し付けに
自己違和を覚えている少年少女の感情移入を誘導しエンパワーメントします。

「中学生になった日に、自らの出自を自覚する」
中二病感あふれる出だしはキャッチーなハズ。

♪♪テーマなど
「人生という一度きりの試み」を
作者の本職の「ソフトウェアテスト(検証)」になぞらえました。
 
読み味に寄与すれば良いと思います。

クライマックスで感情や主張を乗せやすいギグ(≒ライブ)を用意。
音楽活動を軸に、AIと人間、マイノリティと社会。
相互理解と共存を説く普遍的なテーマを訴えます。

舞台は未来の日本とし、都内のライブハウスやインディーズ文化を借景。
リアリティと身近さを強めて、肌感レベルで自分事に感じやすく調整する想定です。

文字数:377

課題提出者一覧