梗 概
時をかける僧侶
登場人物
乾洋一郎(16) 歴史だけは古い山寺の跡取り息子なのだが、ロックに目覚め高校を中退して家を飛び出し、現在ロックバンド「クロックス」のドラマーをやりながらラーメン屋でバイトをしている。
近藤朝子(17)洋一郎の幼なじみで姉のように慕っている電気屋の一人娘。「電撃の朝子」とよばれ、弱気を助け強きを挫く女番長。
竹橋和樹(16)通称・タケやん。洋一郎の幼なじみ。朝子の隣に住んでいる。両親が共働きで忙しいため、家事全般を任されている。
乾総一郎(46)洋一郎の父。山寺の現・住職。檀家を持たず、依頼があれば法事を行う。時々ボランティア活動で長く家を空ける。朝子の父・誠一郎とは将棋仲間。
石原勇一朗(20)新しく町の交番に赴任してきた警察官。マイケル・ジャクソンの大ファン。
物語の構成
・洋一郎の現在地点。幼なじみのタケやんと共に姐御を探す。やがて「時の監視者」として覚醒する。
・『時をかける朝子』(『時をかける少女』オマージュ。朝子目線で朝子に何が起きたのかを描く)
・目覚めた能力で朝子を探し出す洋一郎。五次元人として「時の監視者」として生きる覚悟。
五次元人の設定
西暦2300年。突然変異で生まれた五次元人。並行世界を移動できる能力を備えた彼らには、決定的な身体的な欠陥があった。それは、繁殖能力が低いこと。性欲という本能が欠けている。闘争本能も弱い。平和主義者の五次元人は、自らの能力を活用してより良い未来を築こうとしていた。だが、三次元人たちは五次元人の能力を警戒し、被害妄想に陥り、敵対視するようになる。やがて大規模な五次人元狩りが始まる。このままでは、五次元人は絶滅する。残された五次元人たちは、未来の技術で自らのクローンを作り、子どもとして過去に連れて帰る。こうして五次元人の血を繋げている。なるべく三次元の人類たちと馴染むように、五次元の能力は「覚醒」するまで現れない。覚醒の発動は、初めて時の分岐点に立ち会った時となる。
<第一章のあらすじ>
乾洋一郎には、幼い頃の記憶はあまりない。けれど、物心ついたときには、母親はいなかった。父親はおだやかな人物で、どんなにやんちゃをしても笑って許す人だ。時々「ボランティアに行ってくる」といって留守にするこがあるが、特に洋一郎に何かを言いつけることもなく、自由にさせてくれた。洋一郎は、幼なじみで鍵っ子のタケやんの家にいりびたり、その隣の電気屋の娘・朝子と一緒に過ごすことが多かった。面倒見の良い朝子をタケやんと洋一郎は「姐御」と呼び、金魚のフンさながらついて回った。中学の頃、洋一郎はタケやんの兄が持っていたビートルズのCDを聞いて、衝撃を受ける。ロックという音楽に一気にのめりこんだ。洋一郎は、高校を中退し、家を飛び出した。ミュージシャンになるためだ。父親は、「やりたいことをやればいい」と放置。貧しくもロックな日々を満喫していた洋一郎の元へ、タケやんがやってくる。「姐御が消えた」とタケやん。姐御は強い。そう簡単に拉致誘拐されるわけがない。姐御に何が起きたのか? 洋一郎はタケやんと共に朝子を探す。朝子が何者かに狙われていたという痕跡はない。しかし、タケやんによると最近の朝子は様子がおかしかったという。。探しながら感じる違和感。やがて洋一郎は「時の分岐点」に立ち会う。そして、眠っていた「五次元」の力が覚醒する。
文字数:1383
内容に関するアピール
講座に申し込み振り込みを完了させたときに、売れない脚本家歴十数年の私は、SF小説を書くという無謀な挑戦をするにあたり、自分へのお題を設定しました。それが『時をかける僧侶』です。もちろん、名作『時をかける少女』をモジっただけの思い付きですが、一年を通してきっと私は毎回出された課題に思い悩み筆が止まる。それならば、課題が出る前に自分でお題を作ってしまえばいいじゃない!と思ったのです。これを軸にして、課題に立ち向かう。軸があれば、迷子にはならないだろうという措置でした。しかも、課題をこなしていくうちに、単なる思い付きであった『時をかける僧侶』の詳細設定も決まっていく。一年後には、長編『時をかける僧侶』の草稿が出来上がる。一石二鳥の課題二段階認証システム……の予定でしたが、なんと三つ目の課題で「長編」チャレンジ。とりあえず今ある材料で登場人物と構成と第一章のあらすじだけを考えました。今後、どうなるかはわかりませんが、『時をかける僧侶』ワールドで進めていく所存であります。
あ、今回のテーマ『売れそうな企画』ですが、売れていない歴十数年の私に聞かないでください(苦笑)と初見で思ったのは事実です。すみません。でも、『売れそうな企画を考えて売り込む営業努力を怠っていた』から売れていないのも事実です。営業力は大事。痛感しています。この課題は、無茶ぶりにしてとても重要な課題です。売れなくてもいい、逞しく端っこで粘っていこうを決意した作家からは以上です!
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