梗 概
AIなき世界に生まれて
概要
遥か先の未来。
人類は子供をクローニングや人工授精で産むようになっている。生まれた子供は社会全体で育てるようになり、制度としてのAI育児が当たり前となった世界を描く。
設定・AI育児とは
生まれた子供はティーチャーと呼ばれる脳活動をモニタするインプラントを入れ、それをもとにAI親に知育される。
AI親はロボットやホログラムなど様々な代理インターフェースを用いて子供達と接する。脳内物質レベルで子供の状況を察することができるという以外、子育ての見栄え自体は変わらない。
将来的にAI親はそのまま子供たちの頭の中で内なる鏡、もしくは双子の片割れのような存在となり生涯を共にする。そのような孤独や寂しさが即座に解消される社会構造のためこの世界では個別化の概念、ひいては愛という観念が喪失されている。
あらすじ
物語は先天的な障害を持ちティーチャーを導入できなかった女の子がAI無しで育児される過程を描く。障害といってもインプラントが作用しにくいというだけで他の子供と何も変わらない。
話の焦点はAI育児が当たり前となった世界で逆にAIによる庇護を受けられない子供がどのように生きていくか、それを幼児期から壮年期まで段階的に追っていき「赤毛のアン」のような成長物語として書く。
【幼児期】
物心ついたとき自分には親に相当するものがいないことに気付くことから始まる。
養育係は交代制で、自分のお気に入りの養育係のことを日記帳につけている。
【学童期】
自分には親に相当する存在がいないことに気付いてはいるものの、そのぶん自発性が勝り、何不自由なく暮らしている。
【思春期】
この時期から他人とは違うことに苦しみ始める。
周囲は主人公についていけず、その原因である孤独感も理解できず離れていく。
【青年期】
完全に荒んでいる時期。
施設で同じような境遇の青年と出会い恋をするが、愛という観念が存在しないため、二人はその感情を理解できないし、どう扱えばいいかもわからない。最終的に青年は持病が悪化し自殺してしまう。
【成人期】
NGOで世界を旅して自分探し。
戦争孤児を保護するも他人の命に責任を負うことがどれだけ重たいことなのかを実感。さらには誰にも育てられない子供を目の当たりにしAI育児が必要であると痛感する。
【壮年期】
かつての支援者に大人になってからでもティーチャーを導入できる新技術の治験を紹介される。
しかしティーチャーを入れても何も変わらない。生涯、一人で生きていくことにショックを抱くも、自分の中にすでに他者を自分自身のように考え、埋め込むことができる機序――すなわち愛が備わっていることに気付く。
【エピローグ】
自分と同じような境遇の子供や孤児の前で教鞭を執る。ティーチャーが普及した社会では教師の存在が必要ないため教師という概念自体に名前がついていない。
主人公は最後、子供達に「私は貴方たちより少し先に生まれただけ。だから私のことは『先生』と呼んでほしい」と言う。
文字数:1214
内容に関するアピール
企画を考えるにあたって、以下の三つの訴求点を設定しました。
・AIネタを書く!
・育児SFを書く!
・ぎりぎり実写ドラマ化できそうな話にする!
小説で売れる、さらにSF長編で売れる!
これはどう考えても「メディアミックスで売れる」が唯一の勝ち筋なんじゃないか?と考えています。
そのため、訴求点にある実写ドラマ化できそう!に比重を置いた話作りをしました。過去には「アルジャーノン」や「夏への扉」も実写化しているため、そこに勝機を見いだしています。
邦画SF自体わりとコケがちなジャンルではありますが、流行のAIという要素をしっかり拾い、それを少女の成長物語に落とし込めば、あとキャストが豪華であれば、あるいは…。そんな気持ちでこの企画を作りました。
文字数:317