大地下行路

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梗 概

大地下行路

(概要)
 地下八階層まである屋内型テーマパークが避難施設となってから十数年が経った。客の生き残りである赤子は、ひとり地下最下層のホテルを自宅と、ロボットたちを家族だと信じて育った。赤子は少女に育ったが、施設の主電源喪失を目前にして、警備の女性ロボットをお供に地上を目指すよう送り出される。崩壊しかけた各設備や治安の悪化した施設内を突破し、外へと脱出する。

(物語)
 エリは家から出ずに育った。家は広く、両親も使用人も優しかったため、不自由ではなかった。しかし十三歳のあるとき、両親に〈外〉へ行くように言われる。ここにはいられなくなると。お供を一人付けられるが、父も母も残るという。エリは世間知らずで前向きで、後で合流するのだろうと思う。「お母さま、お父さま。行ってきまわ!」と出発する。エリは初めて玄関の外に出る。そこは薄暗く、埃っぽい、高い天井がある空間だった。周りには壊れかけた建物が並び、人の姿はない。
 お供のファラデーが言う。
「ここはまだ〈外〉ではありません。ここは地下で〈外〉は七階上です」
 空間内に放送が繰り返されている。『当施設は主な電源を喪失いたしました。館内に残るお客様は速やかに退避してください。なお、現在は予備電源に切り替わっておりますが、換気用機械設備は約四十五時間後に停止予定です。続いて職員への連絡です……』
 エリたちは急ぎ地上階まで行きたいが、移動設備は壊れていた。階段も途中が塞がれ、まっすぐ上には行けない。
 途中、暴徒から逃げていたバンと出会う。彼は警備スタッフのマックスに助けられ一緒にいたが、マックスは片手脚を失っていた。マックスはロボットで死にはしないが、自分を置いて行けという。ファラデーはマックスの内部パーツを取り出し、人形に詰め連れて行く。彼女も同型のロボットで、構造を知っていたのだ。
「センサー類を残しましたので警戒の役には立つでしょう」
 エリは進むうち、地下施設は博物館で緊急時には避難施設となる場所だったと知る。あの家はホテルであり、自分は生き残りだったことも。
 赤ん坊のころに家族で施設を訪れ、避難時の混乱や暴動で両親を失い、ロボットたちに匿われ育てられていたことを知り、外の世界がどうなっているか知りたいと考える。

 電源喪失リミットが迫る中で、フロアを占拠する暴徒や長期避難民、墓地、逃げる人たち、外の危険を説く新規難者たちと出くわし、話し、軋轢を呼んだりしながら、エリたちは〈外〉を目指す。

 1フロア乃至1事件で1話構成とし、施設の外へ出る過程、博物館が避難施設となった原因、脱出したエリの目にした外の世界がどうなっているのかまでを描く、ポストアポカリプス、ロードストーリー。

(主要キャラ)
・エリ(視点人物)
・エリの両親(ホテル専用スタッフ。活動範囲は建物の中のみ)
・ファラデー(エリのお供)
・マックス(ファラデーと同型)
・バン(中年の避難者)

文字数:1200

内容に関するアピール

売れると考える理由は

・不可解な状況がだんだん開示される。
・少女とロボットのコンビで困難を超えていく。
・半廃墟となった巨大施設や、そこでいまだに規則を守るロボットといった舞台装置。

に自分ながら訴求力を感じ、いけるんじゃないかと考えました。

 あとは、企画には表せられませんでしたが、各登場人物にキャラクタ性を持たせられればと思います。
 なにも知らずに育てられたエリが、事実を知り、いろんな人を知り、現実に直面しつつも前向きさを失わないように描きたいと考えています。

 よろしくお願いします。

文字数:242

課題提出者一覧