梗 概
Type-O3
Type-O3は、スパーリングパートナーとして多くの格闘家を育てたトレーナーロボだった。あらゆる種類のスポーツへ、ロボが人間同様にプレーヤーとして競技へ参加していく中で格闘技にもロボが導入されることとなり、Type-O3は試験機1号選手として競技に参加することとなった。一定ランク以上の選手のスパーリングパートナーを務めてきたこともあり当初は順調に勝ち進んだが、一定水準を超えると、勝てなくなってしまっていた。
ひまりはType-O3のデビュー戦以来、自称、最古参のファンとして試合の度にType-O3にファンレターと編みぐるみを送付する少女である。原因不明の突発的な難病のため、治療と並行し運動機能の回復訓練に取り組んでいるが、あと一歩、車いすから立ち上がることが出来ない。Type-O3は時折、庭で育てている生花を携え病院を見舞うが、その度にひまりから、勝ちあがり、ベルトを狙ってほしいと、檄を飛ばされている。
Type-O3はある日、生前の記憶を断片的に保持するヒューマノイド、順也と試合を行い、Type-O3が判定勝利する。試合後に順也がType-O3を訪ねると、Type-O3は手入れされた庭の見えるリビングで手料理、焼き菓子で順也をもてなし、元トレーナーロボとして、順也が今後勝ち抜くためにどうすればよいかのアドバイスを伝える。順也から逆に、勝ちあがりたくないのか?と訊ねられたType-O3はひまりのことを思い出し、勝ち上がるために自らのアップデートを試みるべく、自らの開発企業のエンジニアに相談する。
相談を受けたエンジニアはType-O3のアップデートに必要な開発計画と予算を立て経営陣に具申するが、Type-O3の誠実なファン対応によって一定のスポンサーフィーを得ている経営陣は自らの立場を守ること・現状維持にしか興味がなく、わざわざ余計なことを考える必要はないと一蹴する。しかし、エンジニアとType-O3の創意工夫で少しずつType-O3の勝率が上がっていくうちに経営陣は手のひらを反すようになり、あたかも自らの経営判断の結果であるかのように成果を吹聴し、タイトルマッチを控えるタイミングで、エンジニアとType-O3に無断でスポンサー企業と無謀な契約を締結してしまう。後に引けなくなった経営陣はひそかに、Type-O3に違法な改造を施すことを試みる。
Type-O3が勝ち上がる中で順也もまた、Type-O3からのアドバイスを活かして勝ち進み、双方への期待が高まる中、両者のタイトルマッチを迎える。
試合はType-O3がダウンを2回奪われ劣勢となる。しかし、最終ラウンド前のインターバル中、車いすで会場に駆け付けたひまりが、車いすに両手をかけ震えながら立ち上がり、「オースリー、頑張ってー!!」と叫ぶ。Type-O3は右手を掲げて応じ、最終ラウンドに臨む。
文字数:1193
内容に関するアピール
今回の梗概は、第1回課題の実作を第1幕(プロローグ)とした3幕構成の2時間映画を考えた時の、第2幕のエピソードとして書きました。お時間が許せば、第1回の実作と合わせて読んで頂けますと、とても嬉しいです。
自分が武器だと思うものは、大きく以下3つと認識しています。
・今までの経験を糧にして誰かを励ますことができる
・自分以外の誰かのために身を挺して闘うことができる
・時間をかけないと身につけられない技能を複数持ち、言葉以外の手段でも、相手と自分の両方を力付けることができる(ので、その技能を文章に活かせる)
自分で書いていて盛りすぎな気がしなくもないですが、これまでの実感ベースで、具体的なエピソードが浮かぶかどうかで上記武器を記載し、本梗概を準備しました。脚本教室・中級編に記載されていた、メイン・サブのバランスは要調整ですが、、
引き続き、よろしくお願い致します。
文字数:379