梗 概
転送される男
誰でも気軽に物質の送受信ができる未来。各家庭には物質転送装置が普及している。
個体・液体・気体、どんな状態の物質も転送可能。生命体の転送は禁止されている。ネズミで動物実験を何度やっても転送後は体の一部が劣化したり奇形になってしまう。原因不明。
その原因を突き止めるために、転送技術の開発者である久遠マサルは人体実験を試みる。目的は技術を他国に売りつけて金儲け。久遠は被験体になる人間を求人サイトで募集する【シーン1久遠マサル視点】
その求人サイトを見ている浅井カズマ(三十五歳独身男性)。カズマは失業中。突然の倒産だった。来月には結婚する予定なので再就職を急いでいる。体力だけは自信があるカズマは、今見ている企業の応募条件『心身ともに健康で丈夫であること』に注目している。給料もかなりの高額だ。これなら婚約者の間宮アリサも喜んでくれるだろう。カズマはその企業に応募して翌日には採用が決まる。アリサに、再就職決まったよー!と電話で報告する【シーン2浅井カズマ視点】
カズマとの通話を終えて間宮アリサはほくそ笑む。アリサは久遠マサルの姪っ子。二人で共謀してカズマを人体転送実験の被験体にしようと企んでいる。その理由は、お金。アリサは結婚後は豪華な贅沢な暮らしがしたかった。でも、今のカズマでは絶対無理だ。そこで、久遠と画策した。まず、カズマの勤めていた会社を倒産させて失業に追い込み、再就職しなければ結婚しない!と脅迫して、この求人サイト(アリサが作った偽サイト)を見て早く再就職先を決めて!とカズマの尻を叩く。思惑通りカズマは応募した。でも、アリサはカズマを本当に愛しているので「カズマの躰は本当に大丈夫なんだよね!」と久遠に念を押す【シーン3間宮アリサ視点】
カズマは指定された場所へ行く。久遠マサルがいる。「五回転送を繰り返して躰の検査データを記録する簡単な作業です」と久遠に言われて、自分が人体転送実験の被験体になることを初めて知る。
実験初日 転送距離 十メートル 躰に異常なし【シーン4カズマ視点】
二日目 転送距離 百メートル 躰に微妙な違和感がある【シーン5カズマ視点】
三日目 転送距離 千メートル 髪の一部が透明になる【シーン6カズマ視点】
四日目 転送距離 一万メートル 髪は完全に透明。皮膚は一部が透明、一部が硬化している。顔のパーツも位置がずれている【シーン7カズマ視点】
最終日 転送距離 三十八万キロメートル(月面)デジタル化→転送→再構築を繰り返したカズマの躰は劣化・変形して、もはや人間ではない【シーン8カズマ視点】
異様な生命体となったカズマはアリサに会いに行く。変わり果てたカズマを見たアリサは、カズマと一緒に転送装置に入り久遠マサルの元に転送する。カズマとアリサは融合して一体の生命体になり「約束が違う!」と久遠に襲い掛かる【シーン9カズマとアリサ視点】
文字数:1200
内容に関するアピール
視点人物を変えてスムーズにシーンを切りかえるようにしました。
実作は、読者さんを置いてきぼりにしないで、ストレスも感じない
に没頭できるように書きたいと思います。後半は、主人公のカズマ
送されるごとに変化していく躰の恐怖感を、シーンが切りかわるご
に描写したいと思います。
文字数:160