コールドフィッシュ

印刷

梗 概

コールドフィッシュ

総合保険会社のLTライフ・トラスト社は事業の一環で、試験的に死刑囚専門の民間刑務所を運営している。
刑務所は人里離れた雪原にあり、魚も凍る過酷な環境のために通称<コールドフィッシュ>と呼ばれていた。
施設内には1つの独房しかなく、死刑囚は刑執行までの最期の数か月をそこで過ごす。

ロバート・キャッスルは新人刑務官としてコールドフィッシュに配属される。
そこには所長のビクター・ノースロードと、彼が開発した業務サポート用ドロイドのフィグがいた。
ロバートにとって初めての刑執行の日、死刑囚は最期まで潔白を訴えたが刑が執行されていく。自身の仕事にショックを受ける彼をよそに、フィグは遺体を地下へ運んでいく。
LT社は生体冷凍保存クライオニクスによる保険商品を将来的に販売したいと考えており、死刑囚の遺体を使い脳の保存研究を行っていた。元々、その部門の技術者であったビクターは地下で研究を続けていた。

ロバートは業務と閉鎖的な環境のなかで次第に心身に支障をきたすようになり、本社でカウンセリングを兼ねた研修を受ける。
研修講師メンターはビクターの同期で、そこでロバートはビクターの妻が殺人事件で亡くなったことを知る。犯行は映画の題材になる程のシリアルキラーであるチャーリー・カーニバルによるものと考えられていたが、決定的な証拠はなく事件は未解決のままだった。
研修を終えてコールドフィッシュに戻ると次の死刑囚が移送されていた。
新たに収監されたのは、チャーリーだった。

彼はロバートたちを”お隣さん”と呼び、気軽に世間話をしてきた。いくら注意しても”おしゃべり”が改善することはなかった。
ある日、チャーリーがフィグをからかうと、突然暴走し彼を襲った。間一髪のところでフィグは停止され修理することになった。
ロバートは妻の復讐のために、ビクターがフィグを操作したのではないかと考える。
研修の結果、ロバートの転属が決まった。異動前日、彼は自分の考えをビクターに話すが否定される。
数か月後、ロバートはチャーリーの刑執行を知る。

***
刑が執行される朝、ビクターが独房に向かうと扉が開いている。奥ではチャーリーが死んでいた。
システムログをみると、ロックを解除したのは既に去ったはずのロバートだった。
彼は不審に思ったが、腐食が進まない内にまずは遺体の保存をすることにした。地下室に運ぶとフィグがいた。

フィグはチャーリーを殺害したと告白する。
人間にしか扉の解除はできないため、ロバートのIDを不正に使ったという。
「イライザ?」
ビクターは久しぶりに妻の名を呼んだ。彼は事件直後、妻を蘇らせることができるかもしれないと彼女の脳を密かに保管していた。
これまでの研究で脳のクライオニクス技術に目途が立ち、機械筐体での反応を確認するために、ロバート配属のタイミングでフィグへ移植していた。
フィグはビクターに応えるべきか迷い、沈黙する。【了】

文字数:1200

内容に関するアピール

▲本作は「死」をどう受け入れるかという物語にしたいと思っています。
クライオニクスについては技術面というよりも、とりまく人物たちに焦点を当てる為の要素として考えています。
映画『アイ・アム・マザー』『エクス・マキナ』のように機械を通して考える作品をイメージしています。

▲物語の構造としては、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』をコンセプトにすえたものを考えています。
ヴィクター・フランケンシュタインが自尊心を高めるがあまり死体をつなぎあわせた”怪物”を作りだしたのに対し、本作のビクターは妻を復活させたいという思いでクライオニクス技術に取り組んでいます。
ロバートについては、ウォルトンとは異なり、語り手程度の位置づけを現状では想定しています。

▲最後の部分(フィグが殺害を告白して以降)は梗概に記載した展開を考えていますが、悩んでいる部分です。
何かアドバイスやコメントをいただければと思っております。

文字数:400

課題提出者一覧