作品プラン
≪young, nothing, caking ―若くて何もないなら、幸せになれるケーキを探せ≫ステートメント
箱の中には、何もなかった。若者が消えた。ミニマル化しすぎて消えた。
「最近の若者は、ショートケーキみたい。甘くて、やわくて、スカスカで、すぐに倒れる」。
もうこれ以上、傷つきたくないと思って、ケーキの箱を買った。やわらかい自分を守るために。
これを言ったら、人生、終わり。
「やりたいことは何もない」
「人と関わるのが苦手」
「何を話していいのか分からない」
「働きたくない」
「引きこもっていたい」
「クズです」
「嫌い」
「好き」
「全て私のせい」
「やる気が起きない」
「他人に興味がない」
「全てに興味がない」
「終わりにしよう」
ねえ、始まってもいないのに? もしや、何が始まっているつもりでいたわけ?
言ってはいけないことを、まとめて言ったから、終わり。一回休み。ずっと休み。始まっていなくても、終わり。
全部を終わりにしたら、何もなくなってしまった。箱もいらなくなってしまった。
だから、この空っぽを、懸命に守る。いつか、自分の納得のいくものだけで埋めるときがくると信じて。
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