作品プラン
《セカイ系ノ夏休ミノ絵ニッキ》ステートメント
◯月◯日
夏休みに入って朝起きてから目に入った数字を全部足していったから今773点65秒間ひと言も喋っていない。林の中にいるのに何も聞こえない。草木のざわめき、虫の鳴き声、何も聞こえない。虫籠の中には電池が切れたカブトムシとカマキリとクワガタのコンセントを抜いていったからか、お母さんが止まってしまって動かなくなった。どうしよう。夏休みが始まったばっかりなのに、どうしよう。お母さんが止まってしまって動かないから、お味噌汁の味が変わってしまう、どうしよう。お母さんのお味噌汁の味が変わってしまうのは厭だから、お味噌汁を飲まなくっても済むように、アメリカに行ってアメリカンコーヒーを飲んでグッモーニン、ブロードウェーで盆踊り大会、金魚掬い、ヨーヨーを釣って、ブルーハワイを食べました。すごく楽しかったです。休日には市民プールに行って、すごく楽しかったです。お父さんは全身黒尽くめでシュノーケルと酸素ボンベを背負って潜ったまま一度も丘に上がって来ませんでした。僕は前世が河童だったので全然水は怖くないのですが流れるプールしか泳げませんでした。お姉ちゃんは前世が泳げない魚でしたが平泳ぎが得意です。おばあちゃんは車の中でお留守番をしています。来年には家族全員でニューヨークに行けたらいいなって話し合って、みんなで家を出て、デンマークに着きました。デンマークの空の色は薄い深緑色で綺麗で、デンマークの海の色も薄い深緑色で綺麗だったから、みんな、空と海の境界線が分からなくなって、海を泳ぎに来たのに空を泳いでしまって全然身体がふやけていかないから「ああ、今日は良いお出汁が取れないわね」って、お母さんが台所で呟いて、僕らを箸でつまんで、どけて、化学調味料を入れました。どうしよう、お味噌汁の味が変わってしまう。
文字数:749