ブラック会社に足りない役割~仕事と会社のスペックとの釣り合いの崩壊からの脱却~
現代の社会問題として目立っている、選挙の演説にもあげられている、若者を必要以上に奴隷並みに働かせ、給料は少ない、残業代は無し、そんな地獄のような労働の場、ブラック会社。
本文ではそのブラック会社が構築されていく工程とその原因となる人間特有の忠誠心について論じる。
1.ブラック会社の黒の4点
僕の経験談を交えてブラック会社が如何なる構造をしているのかを綴っていこうと思う。
社内の雰囲気は悪くはない、暗くもないしむしろ明るい場である。
だが、その明るい場に潜む人との間のやり取りに関して注目してほしい。
まず仕事はどのくらいの期間で終わるかスケジュールを立てて、いつ終わるか目標日時を決定してから仕事が開始される。
その期間内に社長からあれこれと突拍子もない無茶振りをしてくるのだ。
それはスケジュール立てした仕事とは別件を依頼し、しかもそれを今からやれと厳格な態度をとられる事により断る事ができず、やらざる負えなくなる事が山ほど増える、これが「黒の依頼」である。
そのおかげで僕らは定時(19:00)以上働かなければならざる負えなくなり、あまりにも人数の割に合わず荷が重すぎて23:00は普通に超え、寝不足地獄の毎日をむかえるのである。
だが、絶対にその時間まで残れと言われてるわけではない。
そこで、この文を読む読者は思うだろう、その時間まで残らなくてもいいのならすぐ帰って仕舞えばいいではないかと、それは最もな事なのだが、なぜならば決められたスケジュールの目標日時に間に合わなくてはならないという前提で働かなくてはならないというのもあり、スケジュール通りに間に合わなかったらどれほど精神的負担がかかるかと言う不安に追い込まれ、やらねばやらねばとまるで鞭を打たれて走る馬のように、精神の安定を目標としてそれにしがみつくために一所懸命働くのだ。
だがその働いてる最中に客からのクレームが飛んできてその対応に追われたりなど理不尽な事が多々あり、いつの間にか時間は過ぎていって定時帰りでは目標日時に間に合わなくなる事がよくあるパターンであり、それにより前述の精神の安定にしがみつく精神がより強くなり責任感に追われる恐怖から逃げるために残業をしてしまうのだ、これが「黒の精神」だ。
だが、不思議と働いてるみなは忙しい中でも笑ってしまっているという光景が広がり始める、そこから感じられるのはまさに狂気である。
なぜ笑っているかというと、あまりに忙しすぎてランナーズハイのような感覚に陥り、笑顔で働き続けるのだろう。
だが僕は思う、それは幻覚だと、あまりの忙しさに興奮状態になり、身体がボロボロになっている事に目を向けず、ただひたすらに幻覚に踊らされて働き続けてる、まるでドラッグに溺れる中毒者の様なものだと、
そんな中毒者に囲まれて働いているといつしか自分も周りが笑顔だから何気なく楽しい気分になり、
同じ幻覚に囚われて辛さを忘れ、いつの間にか長時間残業してしまうのだ。
つまり、この幻覚は伝染するものなのだ。
幻覚に体、精神がついていけない者は途中で体を壊し、精神を壊し、会社をやめていくのである、これが「黒の幻覚」である。
伝染という意味では、社長特有の割り込み依頼(黒の依頼)と言うのは他の人に影響を受けてるようで、僕はその影響を受けてる人から唐突に依頼をされ、さらには今日のこの時間までにやってくれと言われる、こういう事はもっと早く依頼してもらいたいものだ。
こちら側の立場を勘違いしているんだと思う、頼んでしまえば絶対にやってくれると、これはよくない傾向であり、その影響は上の代から伝染されていく、言わばブラック会社になる火種であり、ブラックという炎をもっと燃え上がらせる薪である、これが「黒の思考伝染病」である。
このように僕の体験では、割り込み依頼によって増幅した人数に合わない仕事量にする黒の依頼、スケジュールに追われる恐怖で帰れる時間でも残業し続ける黒の精神、忙しすぎて逆に楽しくなってきてしまっているランナーズハイな状況を生み出し深い残業へと導く黒の幻覚、そして、どんな状況でも割り込み依頼をしてもいいのではないかと思わせる上の代から伝染されていく黒の思考伝染病が主なブラックな点である。
他の会社でも形は違えどもベースは同じ事が起きているはずだ。
2.ブラックの根源は仕事と会社のスペックとの釣り合いの崩壊に有り
このような社会体系が存在するのはそもそもなぜなのか、その点について説明する前にまず現在の社会の階級の構成をザックリと説明する。
シンプルな階級が存在する、それは「お客様」と「店員」だ、この構造が複雑に入れ子状態として存在するのが現在の社会の階級構成である。
これにより大手企業から中小企業が存在し、大手企業内でも中小企業内でも役職による階級が定められている。中小企業の大半の仕事は大手企業からの請負仕事をするであろう、これにより店に行くと自然に定まる階級、お客様と店員の関係が築かれ、必然的に大手企業がお客様、中小企業が店員と言う階級の関連付けがされ、中小企業は大手企業の期待に応えなければならない関係になる。
そこから中小企業のスペックと、大手企業の依頼がマッチするかによってブラック化するか否かが決まるのだ。
上手くマッチすれば「お客様」と「店員」の関係となり、仕事に極度に追われない素晴らしいワーキングライフになるが、マッチしない場合は残念ながら「王」と「奴隷」となり、特に中小企業側の若者は階級下なので奴隷の如く働かされるだろう。
3.ブラック会社化を防ぐには
では、この悲惨な現状をどう防いでいくかだが、ここで参考になる都会の「王」と「奴隷」を巡る有名な映画、
メトロポリスの名ゼリフで「脳と手の媒介者は、心でなくてはならない」とある。
つまり、階級が上と下の間には上の気持ちも下の気持ちも分かる中間者が必要であると言う事だ。
そのような存在がいれば、「王」に「奴隷」スペックを理解させ、程よい依頼を出すようにし、「お客様」と「店員」の関係が成り立ち、素晴らしいワーキングライフが成り立つに違いない。
つまり、ブラック化したとしても分かち合う事を忘れない事、そして、それぞれの気持ちをつなげる、そうする事によりブラックだった会社もグレーからホワイトへと革命が起きるにちがいないであろう。
本文を読んで、現在所属中のブラック会社に革命を起こす気になられたら幸に思う。
そして僕はそちらに就職するのだ。
(*)本文は東浩紀氏の型、語彙を参考にしていることをここに記す。
文字数:2664