昭和90年代、というのが今年度の批評再生塾全体を貫くテーマである。なぜ昭和で数えるかといえば、元号こそ平成に変わって27年というものの、ぼくたちはまだ昭和の引力のなかで生きているように思われるからだ。戦後70年のいま、戦後レジームの克服がいまだ政策課題になり続けていることが、いかにぼくたちが深く昭和に囚われ続けているかを証明している。

とはいえ、そんな感覚は、ぼくが中年だから抱いているだけなのかもしれない。ぼくももう44歳。最近は若手論客とも呼ばれなくなり、ゲンロンカフェでも年上のゲストをお呼びしてばかりだ。批評再生塾から現れる才能は、むろん、そのようなノスタルジーを鋭く批判し、つぎの時代を見据えるものでなくてはならない。

というわけで、第1回の課題として、ぼくが提示するのはつぎのようなものである。書籍、映画、マンガ、音楽、社会現象、なんでもよいので、きみたちが「これは昭和の延長線上にはない」と思う現代の事象をひとつ取り上げ、その作品評あるいは現象分析をコンパクトに行い、ぼくのような懐疑的な読者を「ポスト昭和」の想像力に誘うような、説得力のある原稿を仕上げてほしい。

イメージとしては、昭和生まれの中高年が読む週刊誌に、ヌードグラビアとかマンガとともに掲載されている見開きコラム。ゼロ年代がどうとか、ロスジェネがどうとかいったジャーゴンに頼った議論は禁止。万単位の広い読者に届く、論理的で簡潔な情報に満ちた文章を期待している。原稿内に、必ず、「昭和」とはなにかのきみたちなりの定義も入れておくこと。

課題提出者一覧