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資本主義とイスラーム教 〜拡大するハラル市場を通じて〜

日本にとってイスラム教は遠い国の人々が信仰している宗教の一つにすぎない。イスラム教について知る機会は、イラクやシリア情勢のニュースくらいでしょうか。ところが、日本の無関心とは関係なくイスラム教への注目度はますます高まっているようです。アメリカの調査期間ピュー・リサーチ・センターは、二〇五〇年にはイスラム教徒人口が約二七億六千万に達し、キリスト教徒の約二九億二千万人に急接近すると発表しました。人口比率でいえば、全体の約三十パーセントがイスラム教徒になる予想です。出生率の高い国にイスラム教徒人口が多いのが一番の特徴ですが、イスラム教徒への改宗人口も増えているようです。このような人口増加を市場拡大と見なし、ハラル・ビジネスに参入しようとする企業も多い。日本でもハラル認証の取得方法を紹介する著者やセミナーが出てきています。しかし、イスラム教はムハンマドが商人だったということとは裏腹に資本主義の舞台で突出することはありませんでした。むしろ、資本主義の「周辺」であったことによって、原理主義的な過激派組織が見出された。もちろん、イスラム教徒人口の増加は東南アジア諸国の人口増加に起因する所が大きい。しかし、際限なき利潤の追求は中東諸国への進出へと派生することも充分考えられるでしょう。ところで、イスラム教徒が資本主義の中心になるという事は、非ムスリムの生活様式にアッラーが介入する事と同義ではないでしょうか。もしハラル市場が資本主義の「中心」になるということは、建前上は非ムスリムもアッラーに従うという事になるのではないか。資本主義とイスラム教の関係は、西洋のキリスト教と資本主義との関係と同じように考える事はできないはずです。そもそも近代化自体が西洋キリスト教より始まったのならばなおさらでしょう。

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