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「共同討議『昭和批評の諸問題1975-1989』」を読まない

升本:捨てたもんじゃないですよ実際。わたくしの周りにもおりましたー『ゲンロン1』お持ちの方。今回の課題文は「必ず対話形式で綴ること」ちゅう指定がございまして、じゃあ実際に音源収録、まで至らんとも誰かと話してみてから書き始めたいな、ってまあ他の方も試みてるかもしれん手法に思い至ったわたくしに突き付けられる現実、友達がいない、ちゅうね、辛い辛い。でも探してみたら幸いにもおったんすわ心の友、ご紹介します「升本」さんです!

升本:升本と申しますもと。肉が好きな会社員です。2015年に大幅なダイエットに成功しました~。

升本:はい升本さんダイエット成功おめでとう。早速ですが『ゲンロン1』読まれました?

升本:読んでない。

升本:読んでなかった残念。ま、わたくしもまだ読んどらんのであなたのことは責められませんね。

升本:でもTwitterで感想はめっちゃ見たんで。

升本:それは読んだうちに入らんよ。

升本:「あまりにも『おそ松くん』な現在思想」。

升本:最初にそれ言っちゃうんや~。何にせよ、お互い読んでからもう一度話しましょか。

升本:磯野~「読んだことがない者だけが楽しめる遊び」しよーぜ~。

升本:未読で勝手に内容予想してあれこれ言うやつやろ? 畏れ多いわ。

升本:やろーぜ~。

升本:その遊びは題材が物語じゃないと面白くならんと思うけど……でもやるっきゃないか〆切今日やし……。やります!

升本:はいどーもー升本でーす。この『ゲンロン1』って、文字ばっかりで約300ページの本なんやけど、表紙が蛇みたいやね。

升本:手触りがね。そんな外側から攻める?

升本:佐々木敦さんが「批評は外部」って!

升本:いやそれはそういう意味じゃないでしょ。

升本:今回はこの『ゲンロン1』の一部分の内容を予想します。

升本:はい。共同討議「昭和批評の諸問題1975-1989」は『ゲンロン1』48ページから91ページの43ページ分+年表。

升本:なんと! 四半世紀前より昔のことを長々と5万字以上話しとるんですね~今さら。

升本:そういう言い方やめろ。もちろん本音じゃないです~。ええと4人による座談会形式なんやけど、1人目が文芸批評家・市川真人さん。前田塁名義での著書もお持ちで……

升本:『近代日本の文学空間』!

升本:それは前田愛やね。確かに名前似とるけれども。

升本:子ども時代は『あっぱれさんま大先生』に出演して人気を博し、現在は歌舞伎役者・中村勘九郎の妻として……

升本:それ別の前田愛。

升本:プリキュアのキュアアクアの声優を担当し……

升本:それも前田愛な。また別の。前田愛たくさんいて混同しちゃう話はもういいよ。

升本:2人目が大澤聡さん。

升本:前田塁の著書紹介は?

升本:大澤さんは「句点御剣流(くてんみつるぎりゅう)の継承者」として文章で句点を多用し……

升本:何それ聞いたことないよ。そんな三十路無職の流派みたいの。

升本:。。。。。。。。。

升本:?

升本:句点御剣流奥義「句頭龍閃(くずりゅうせん)」! 行頭に句点が多用される!

升本:禁則処理しろ。ええと、3人目が福嶋亮大さん。

升本:天賦の文才「天文」、思考を読ませない「感情欠落」、超神速の移動術「縮地」を兼ね備えた批評家で……

升本:「るろ剣」の瀬田宋次郎だろそれ。この後もるろ剣縛りで続けんの? 苦しくない? 福嶋亮大さんと大澤聡さんは、ゲンロンカフェで【批評はいま】という連続イベントをされていて……

升本:「俺と組んで批評家になってくれ」と声をかけてコンビが成立した。

升本:バクマン。?

升本:アニメ化したら幼馴染と結婚するという約束をしているため必死でイベントの集客を……

升本:バクマン。引っ張るなあ。 ……ああ! るろ剣と実写版のキャストの組み合わせが同じだから? 説明なしじゃ伝わらないよ。あ、でも大澤聡さんは【批評はいま】で、「小説家と組んで何かやりたい」と仰っていましたね。

升本:福嶋さんも「いつか小説書く」って。

升本:実現したものを目にできる日が楽しみですね。4人目が東浩紀さん。

升本:『ゲンロン1』の編集責任者。

升本:ボケないんだ。そんな4人で語られとる訳ですけれども、タイトルから察するに1975年~1989年頃の日本の批評界隈がテーマですね。当たり前か。

升本:っしゃー!(強くこぶしを握る)

升本:唐突にどうした。

升本:課題文提出下限文字数の2000字超えた!

升本:本編の予想にまだ入ってないのに……。でもこれで提出はできそうですね。よかったよかった。

升本:「透かし見えてきた結末の光景から導かれる試合放棄」。

升本:大澤聡さんの今回の課題説明にあった言葉ね。……でもまあ、できることをしようじゃないですか。

升本:「昭和批評の諸問題1975-1989」の内容を予想する。

升本:そうやね。早速だけどどんな内容やと思う。

升本:最も萌える批評家同士のカップリングは誰×誰かについて延々討論している。

升本:100%違うわ。あれ、違うよな……。ええと、手がかりが少しはあった方がいいから1ページ目だけ読んでみようか。

(48ページを読む)

升本
升本

 

升本:……どうやった?

升本:BLの話してないかも。

升本:そりゃそうだろ。

升本:東さんしかいない。

升本:いやいや、開幕のあいさつみたいのしてるだけでしょ。

升本:「1|プレニューアカの可能性」。

升本:いいとこ目をつけた! それは予想のとっかかりになるね。ニューアカより前ってことだろうからおそらく70年代の話から始まるわけだよ。70年代後半何があったっけ。

升本:        。

升本:句点御剣流?

升本:違う。無。生まれてない。

升本:我々はそうだけれども。批評史でいうと、あー、柄谷行人が何か書いてたんじゃない?

升本:「何か」としか言えないのが悲しい。

升本:すいませんね。あとはあれだ村上龍・村上春樹のデビュー!

升本:苗字が同じことから、本人たちもどちらが自分であるか混同してしまったという。

升本:そんな訳ないだろ。

升本:「ただよう まなびや」でお見かけした村上春樹さんは「村上龍です」と名乗ってましたけど?

升本:それはギャグでやってんだよ。

升本:2人の対談が載った雑誌には「村上」の字が並び読者が混乱したという。

升本:適当なこと言うな。そこは「龍」、「春樹」とかにしてたでしょ。

升本:「春樹」だと角川春樹かもしれないと読者が思ったかも。

升本:思わないよ。というかそもそも1ページ目の情報でもっと大事なことあったわ。「近代日本の批評」を継承してるってところ。

升本:じゃあ各々が柄谷行人や蓮實重彥をどう捉えるかについて話しているんじゃん?

升本:まあそこはハズせないよね。

升本:「むずかしくてよくわかんないよね~」、「なんとなく、わかるでしょ?」みたいな。

升本:そんなふにゃふにゃな討論が行われている訳ないだろ。

升本:「父にするとしたら誰?」

升本:付き合うなら誰? みたいな言い方をやめろ。

升本:「血のつながっていない父だとしたら、どう?」

升本:義妹実妹どっちがいいか論争かよ。

升本:あとは東さんが「○○はネトウヨ!」とか。

升本:いや、この頃ネットないから。

升本:東さん、ゲンロン友の会総会のとき「カイロ・レンは完全にネトウヨ」って言うてたし、最近「○○はネトウヨ」って言うのが東さんの中で流行ってるとみた。

升本:そうなんかな。まあいいや。章タイトル1がプレニューアカの話だったんだから、2はおそらくニューアカの話ですよね。

升本:浅田彰。

升本:ニューアカの象徴的存在。当時はアイドル的な人気も博したらしいよね。

升本:「“知のアイドル”浅田彰だZ!」

升本:そんなここ数年のアイドルみたいなノリの訳ないだろ。

升本:「ごめん、俺DD(誰でも大好き)なんだ……」

升本:誰の台詞だよ。

升本:中沢新一。

升本:なんで? まあ、ニューアカっちゅうと、大抵セットで語られますよね。

升本:DDだったためにあのとき一度は社会的な信頼を失って……

升本:……きわどいな。他にはこの時代の小説家の話もしているだろうね。

升本:ああ、中上健次が「最後の日本近代文学」がどうかとか?

升本:柄谷行人の期待を背負ってね。柄谷行人といえば『日本近代文学の起源』は大きな仕事だよね。

升本:『近代日本文学の起源』。

升本:あ、それもTwitterで得た知識ですかね。

升本:高橋源一郎は、あの時代までのところポップ文学の最高の作品だと思うな~。

升本:『さようなら、ギャングたち』の推薦文パクるな。

升本:いやでも文芸批評史が批評史だというのは、この頃には崩れていたと思うな~。

升本:というかさあ、途中からちょいちょい、実際の討議の文章引用してるよね? 本当は「共同討議『昭和批評の諸問題1975-1989』」読んでるだろ?

升本:読んでました。

升本:読んでたんかよ! 企画の根底が覆されたよ。もういいよ。

升本:ありがとうございました~。

 


【参考文献】
『『罪と罰』を読まない』岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美、文藝春秋、2015年
『読んでいない本について堂々と語る方法』ピエール・バイヤール・大浦康介訳、筑摩書房、2008年

文字数:3711

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