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しつもん×しつもん

「1日では書き終わらん量の一かたまりの長めの文章を書く際、書き始めの感覚やテンションを変化させんよう『書き終わるまで極力、他の人が書いた文章を読まない』ちゅうことはありますか」って主旨の問いを見聞きしたことありますよね誰しも。
仕事でも趣味でもフィクションでもノンフィクションでも構いませんけども、文章を書く人が集った折、話題に事欠いてもうたら大抵上記の問いが提示されるようでして、わたくしなどは日常の中で問われたこともありますし、紙面の対談やインタビューでも見ますし、トークショーや鼎談でも聞きますわ。そいでわたくし自身が問われた際にはとりあえずいつも「あなたはどうなんですか」と問い返してまうんですね。すると幸か不幸か「質問を質問で返すなぁーっ!!」と怒り出すような性質の人はおらず、そればかりか質問してくるあたり質問者自身もこの問いについて熟慮した機会があったんか「そうっすねー、文章書くときは、極力他人の文章に触れんようにしますね。あ、まあ、調べ物は別ですけど」とか「私はあまり気にせず好きなものに触れてまうんですけど、後から自分が書いた文章を読み返すと『うわー、このあたりの文体、あの文章を読んだ影響出てんなー』って思うことがよくありまして」などと、大抵わりかし詳細に返されまして。なんで毎回「なるほどー、具体的には何を読んでどんな風になったんですか」などと質問を重ねることで最初の問いに対してわたくし自身の立場をうやむやにして、自分の意見を言うことを避ける癖があります。

でも、そうですね、わたくし自身はどちらかと言うと「影響モロ出しチーム」の一員なんで、そのことを自覚してからというもの、むしろ積極的に読むようになりましたね。流動性大事にしたいんす! とか、オリジナリティ生まれるんちゃう? とか脳内では後付けで理由付け自己弁護しとりますけど本質はあれですよ、試験前になると本格的に部屋片づけだしたり、引っ越し準備の梱包してると雑誌を読みふけっちゃったり的な心理的逃避行動。その一例として今日なんか2016年4月からアニメ放映開始予定の『ジョジョの奇妙な冒険』(以下『ジョジョ』)第4部「ダイヤモンドは砕けない」をパラパラと読み始めちゃったんすけど、そこで先ほど引用した言葉に出会いまして。

「引用ってどれ?」と思われたでしょうかすんません。「質問を質問で返すなあーっ!!」の部分ですね。「疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?」(*1)と続きます。『ジョジョ』第4部後半での吉良吉影の台詞ですわ。周知のとおり『ジョジョ』は「台詞」に注目が集まることが多くて、過去には『ジョジョの奇妙な百人一首』(2007~2010年)という商品が発売されたり、『ジョジョの奇妙な名言集』(2012年)という書籍が編まれたりしましたし、『ユリイカ』(2007年)や『美術手帖』(2012年)で特集が組まれた際の論考には台詞に関するものがありましたし、著者インタビューでもインタビュアーが尋ねる質問の筆頭に来ることが多いです。引用した台詞は上記『名言集』にも収録されとるんすけど、わたくしが今回気になったんは、この台詞から“死”のイメージを感じたことでして。それがどうしてなんか考えてみました。

おそらく作者自身、意識してないからこそ起こるんやと思いますが、この台詞と同様の台詞は、『ジョジョ』で後2回登場しまして。
2度目は、第5部「黄金の風」でのホルマジオからナランチャへの台詞「質問を質問で返すなよ……礼儀に反するってもんだぜ」。
3度目は、第7部でのマウンテン・ティムからオエコモバへの台詞「質問文に対し質問文で答えるとテスト0点なの知ってたか? マヌケ」。
それぞれ作中での時間も場所(第4部は日本、第5部はイタリア、第7部はアメリカ)も遠く離れていますし、状況も大きく異なるんですけれど、共通点を無理矢理探していくと奇妙な類似がありまして。1点目は「2人のうち1人が初登場のキャラクターで、前後のシーンでどちらかがどちらかに名前を尋ねている」という点です。これは台詞の内容からすると、そこまで違和感はないですかね。
2点目が重要でして「ここで会話をしている2人のキャラクターは、直後に1人が死に、話が進むうち、もう1人も死んでしまう。そして2人とも、その死のシーンが描写される」という点です。物語の中で新キャラクターが出てきたり、反対に描かれんくなるキャラクターがおるんは不思議なことではないですし、『ジョジョ』はキャラクターが多い漫画ですけれども、退場の際に「死亡」が明示されるんは、当たり前のことではありませんし、“死”のシーンがきちんと描写されるキャラクターの方が少ない。でもこの台詞が出ると確実に二人とも死ぬ。100%死ぬ。だから読者に“死”のイメージを抱かせてしまうんですね。

無理矢理感はぬぐえないですけれど、「質問」の頭文字の「し」は「死」と音が一緒で、その「し」が重なることで、話者が二人とも死んでしまう、という見立てはどうですかね。わたくしとしては「質問を質問で返す」=「死」というイメージはもう強固にできてしまいました。『ジョジョ』は2015年現在も第8部が連載中で、わたくしはまた質問を質問で返す場面が出ないかと心待ちにしながら読んでおります。


 

*1:日本において、現行の『学習指導要領』には、そのような内容はありません。

文字数:2221

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