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最高にサスペンスフルと思うかどうかなんて運と気の持ちようですよ

最高にサスペンスフルだと思う映像作品って言うたら私の中では完全に「キューブ」(1997年、カナダ、ヴィンチェンゾ・ナタリ)ですわ。十年以上前に実家の団地の自室で夜中に一人でレンタルしてきたやつを見たんやけど、途中からの没入感と心臓の脈打ちがすごくて見終わった後に寝れんくなって部屋に一人でいるんも怖なって夜中から夜明けまで団地内を徘徊したもんね。で、日の出に涙。いや泣いてはないか。涙は捏造記憶かもしれんですけど前後の人生経験含めても宙づられ経験ちゅうかサスペンスフルな気分はあれが断トツでしたわ。ほんでまあ日を置いて、貴重な体験したわーって思って、サスペンス映画? レンタルショップのサスペンスコーナー端から借りた時期もあった。でもその後に何見たんかはあんまり覚えてない。冷静に映画の内容を分析していくと、私がサスペンスフルやと感じてもおかしくない映画はその後もあったはずやのに、それぞれがあまり印象に残っていないんは、当たり前かもしれんけどその映画を見た状況とかそのときの精神状態とかのせいなんやろね。サスペンスフルと感じるかどうかは映像作品の内容だけが理由じゃない訳やね結局。でもまあじゃあどういう状況やとサスペンスフルと感じられるかを考えてみたら、あのときの気分を再現できるかもね。

 

1.内容を知らない。

これ大事よ。どんな話か全然知らん方が確実にサスペンスフル。やから「キューブ」のあらすじとか書きたくないよね。まだ「キューブ」を知らん方々がサスペンスフルな体験をする機会を奪ってしまうかもしれんわけやし。私は「キューブ」をレンタルショップの「いまさっき返却されてきました」みたいなコーナーで見つけて、タイトルだけで何となく借りて、たまたまやけど外箱の情報すら知らんで見たわけやけど、幸運やったよー過去の私。

ヒット作の続編が規模感増してるのに「前作の方がよかったわ」派が一定数出てしまうんも、前作の内容からある程度推測できてしまう部分があって、推測しながら二作目以降を見てしまうからやろね。

 

2.作品内の空間と自分の存在する空間に共通点がある。

舌の根の乾かぬうちに「キューブ」のあらすじ紹介ちょろっとしてしまうんですけど、何か立方体の部屋の中にいるんですよ。知らぬ間に。一人で。で、私がこの映画を見た自室っていうんも大きさは違えど立方体に近い形状で、なおかつ一人でね。確か他の家族は旅行か何かで家におらんくて……思い出した! その日は家に一人やったから、AV借りたんすよ一緒に。一緒にちゅうかAVがメインやったな借りる時点では。カモフラージュで普通の映画借りよとして、ああだから内容を知らんで借りたんやったわ「キューブ」。運よかったなー過去の自分。AVは何借りたんやったか。

話を戻すと「映画はやっぱり映画館でみた方がいい」っていう人いるじゃないですか。私もたまに言います。でも「キューブ」はちゃうかったなあ。映画館で見てたら、ここまで印象に残ってなかった気いします。周りに人いるから、自室一人鑑賞のときほど没入できんかったすわ、たぶん。でもでも「ゼロ・グラビティ」(2013年、アメリカ、アルフォンソ・キュアロン)はレンタルで自室で見たんですけど、映画館で3Dで見た方がサスペンスフルやったと思いますし、作品次第ですね。「キューブ」に関しては狭めで静かなところで一人で見た方がサスペンスフル。

 

3.死を意識した状況を呼び起こされる。

サスペンスって大体、死にますよね人が。ご多分に漏れず「キューブ」も死にますよ人。登場する役者、十人未満やのに冒頭で死にます一人。割と平和な時代ですし、現世を生きる多数の人にとって身近ではない死を、いつ死ぬんかわかれへんと思わせたらサスペンスフル。

映像作品を見ている人は生きているわけで、死は経験していない。ただ「死ぬかと思った」ことがある人は存外多いんじゃないすかね。私なんかは「キューブ」を見た大学時代、体育会的な合気道部に所属していたんやけれど、追い込みみたいな時期に狂人めいたテンションで後輩たちをシゴいてくる先輩がおりまして、「キューブ」のどの場面とは言いたくないけど、そのときの死ぬかもって感覚を思い起こした場面がありましてね。あれはサスペンスフルでしたわ。

 

まとめ

1、2、3がそろうと、映像作品をみたときに最高のサスペンスフル体験ができるかもしれないと綴ってまいりましたが、あれ? これ再現するんは難しいんじゃないすかね。「1.内容を知らない」を最優先しようとすると「2.作品内の空間と自分の存在する空間に共通点がある。」と「3.死を意識した状況を呼び起こされる。」を意図的に起こせないですし。2、3を意図的に達成しようとすれば、どうしたって見る前にその映像作品の内容を知らなきゃいけないですし。結局、映像作品を「最高にサスペンスフル」に感じるかどうかなんて運と気の持ちようですよ。

 

文字数:2013

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