The Millionth Summer of Love

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梗 概

The Millionth Summer of Love

スペイン・バレンシアの東、約80kmの地中海沖合にある島に向けて、
真夏の海を二艘の小型艇が近付いていた。

南から向かっていたのは、太腿にマシェットナイフを付けた目つきの鋭い女。
北から向かっていたのは、両耳の先端が黒い煙で覆われた男。

しかし、ナイフ女と煙男の船は目指す島を見つけられず、紺碧の洋上ですれ違う。
最初に無線で呼びかけたのはナイフ女だった。

「ここらに島があるはずなんだけど、あなた知らない」
「僕も探しているんだ」

二人はしばらくお互いが探している島の情報をやり取りしたが、
それらは似ているようでどこか異なる島を指しているようだった。

ただし、北緯38度55分東経1度26分という座標はお互いに一致していた。
同じ目的を共有した二人は洋上で再度落ち合う約束を交わし、来た道を引き返す。

二艘が再び接近する。すると突如海洋に大きな影が広がった。
同時に二人の無線からはどこからかダンスミュージックが鳴り始めた。

二人が船の外を見ると、洋上の影の上空には巨大な島が浮かんでいた。

女は水面の影に向かってマシェットナイフを振るうと、
空飛ぶ島は浮力を段々と失っていくかのようにゆっくりと二人の元へ降下した。

島が静かに着水すると、二人は近くの船着場にボートを進めた。
桟橋で二人は始めて出会う。

「君はどこから来たんだい」
「さあ、ずっと色々なところを旅をしているから。あなたは」
「僕は元々この島、ラピュータの住人さ。DJをしてる。
今日はとても大きなイベントなんだ。だから1ヶ月前、島から落っこちた時はどうしようかと思ったよ」
「よかった。じゃあ今日はこのイベントで間違いないわね」

女は一枚のフライヤーを取り出した。

『The Millionth Summer of Love』

タイトルにはそう書かれていた。

「そうだね。もうすぐ僕の出番だよ。君も来るかい」
「もちろん」

そう言うと、低音が響く方巨大なダンスホールへ向かって二人は砂浜を駆け抜けていった。

文字数:806

内容に関するアピール

ラピュタをイビサ島にしたくなって書きました。

大体夏のせいです。

文字数:31

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