《星》

作品プラン

《星》

私たちは、どんなときに、絵を描きたい、何かを作りたいと思うだろうか。
美しい女性を目にしたとき、忘れられない思い出があるとき、語り継ぐべき物語があるとき、
忘れられてはならない暴力がこの世の中に存在することを誰かに告発するため、
「みる」という行為や視覚について分析するための方法として。

私はどういう時に絵を描くのだろうか。
今回あるひとつのモチーフを描くことにした。
私には今まで決して忘れることの出来ないまま、記憶の中で繰り返される映像がある。
それは、幼い頃、私がついてしまった嘘についての映像だ。
この嘘について、うまれて初めて人前で告白したいと思う。
それは、ずっと誰にも言えなかった秘密であり、私は今でもほんとうに話してよいのかわからない。
ここに文字として記すことも今の自分には憚られるようなものだ。
しかし今の自分というものを形成するのに大きく影響を与えているだろうと思える重要な体験だと思う。

 

ところでドローイングのおいしいところは、描いていくうちに色んな意識から少しだけはなれる事ができるところにあると思う。
何枚も何枚も描いていくうちに、自分が「絵を描いている」ことや、「美術している」ことを忘れて、ただ「その行為」だけに熱中できる段階が訪れる。そこがまさにドローイングのおいしい部分のひとつだ。
目の前の「それ」と自分以外存在しない静かな世界へ、紙とペンさえあればたとえどこにいても、いつでももぐっていけることは、絵をかく人間だけが知ることのできる喜びのひとつだと私は思う。

 

 

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文字数:640

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