《二十八世紀型聖地巡礼装備》ステートメント

作品プラン

《二十八世紀型聖地巡礼装備》ステートメント

西暦2700年を過ぎた頃である。
日本列島。そのほとんどは放射能に汚染され、生身で立ち入ることはできない。
かつて栄えた文化も失われ、廃墟と植物、そして放射能に適応した奇異な生物たちが跋扈する世界となっていた。
その不毛な大地に立ち入る一人の男がいた。

男は考えていた。

一千年程前に、松尾芭蕉という男が弟子を連れ立って東日本を旅したらしい。
奥の細道と呼ばれるそれは、この一千年の間にその記録の多くが失われてしまったためその詳細は杳として知れないが、その目的は、芭蕉の時代からさらに六百年遡った時代に生きた歌人、西行の足跡を追うことであったらしい。
旅に出るとき、芭蕉はすでに老体であった。
それでも、「そゞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず」。
耐え難い衝動が芭蕉を突き動かした。
旅に出るしかなかったのである。

そして現在、汚染された日本列島に降り立った男も、芭蕉と同じ気持ちであった。
彼の手には、七百年前より伝わる古の物語、「たまこまーけっと」の資料集がある。
そして彼の行き先は「たまこまーけっと」の舞台であるかつて京都と呼ばれた一帯であった。
困難な旅になるだろう。無事に生きて帰れる保証はない。
それでも、そゞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず。
彼は、歩みを進めるのであった。

***

旅の行き先:放射能で汚染され廃墟となった未来の日本
旅の目的:アニメの聖地巡礼

 

 

16_じょいとも_二十八世紀型聖地巡礼装備1

16_じょいとも_二十八世紀型聖地巡礼装備2

文字数:610

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