現段階の体力測定という意味もこめて、とにもかくにも全員に文章を提出していただきたい。だから、わたしからの課題は今期も内容上の自由度を高めに設定しておきます。以下のとおり。

《文学作品を3点えらび、1点につき700~800字で論評せよ。それぞれに小タイトルも付すこと。3つの短い批評文(あるいは書評)がならぶ以外には何も付け加えてはならない。》

ここでいう「文学作品」は自分なりの定義にもとづいたものでかまいません。というよりも、事前に手のうちをごっそり明かしてしまえば、「3点のセレクトによってあなたの考える文学を批評的に表現してください」、これが課題の趣旨です。ですが、注記したとおり、「批評的に表現」の部分を独立的に言明するにはおよびません。3点ならべてもらえば、それだけで意図は伝わるでしょうから。

いまのところ文学のメインストリームにカウントされてはいない断片たちをつかまえて、文学の外延の拡張を試みること、それこそが文芸批評のミッションだとわたしは考えています。言葉をかえれば、これは全体性を思考するということでもある。

ちなみに、最近『教養主義のリハビリテーション』という本を出しました(このタイトルはじつは次回講師の高橋源一郎さんの初期エッセイへのオマージュでもあったわけですが)。第4章では、「全体性」についてあれこれ語っていますので、ヒントくらいにはなるかもしれません。そこでわたしが伝えたかったことは、「いま見えている全体はニセの全体かもしれないよ」という1点につきます。

3点という日本的箱庭のような限定性のなかで、ぜひ文学の全体性の提示(全体性という思いあがりの危険にきっちり配慮しつつ)に挑戦してください……なんていうと、きっと過剰に構えてしまうでしょうから、基本的には現時点で論じてみたい作品を自己紹介がてら3点えらんでもらえば、とりあえずはオーケーです。

<運営による追記:今回提出されたすべてのテキストに対するチューターからのコメントはこちらからご覧ください。>

課題提出者一覧