「自己啓発書」というジャンルはご存じのことと思う。ビジネスや日々の実践における「自己のよりよいあり方」について助言し、励まそうとするものである。それはしばしば、偏った経験からくる独断であったり、科学のいかがわしい拡大適用であったりなど、誠実に知的であろうとする者にとっては眉をひそめたくなる面をもっている。それゆえに、自己啓発書がいかに歴史的に生成してきたのかとか、資本主義との関係でどんなイデオロギー機能を発揮しているのかとか、突き放して批判的に研究されることはあっても、自己啓発書の魅力——事実それは多くの人を惹きつけているわけである——にわざと感染してみるという危険を冒しつつ、同時に何らかのしかたで距離をとるような試み、いわば「メタ自己啓発」の試みにお目にかかることは稀だと思うのである(私の観察するところでは、なくはない)。今回、課題として要求したいのは、そうしたメタ自己啓発的な観点から、批評を構成することである。要は、その批評自体が自己啓発的であるとも言え、かつ、自己啓発の「脱構築的な批評」でもあるようなもの。難しいとは思うが、そうしたものを書いてみてほしい。何か既存の自己啓発書を引用しながら、それへの批評から議論を発展させてもいいし、そのような参照関係を見せない書き方でもかまわない。

課題提出者一覧